第41章 「並走するタイムリミット」
――冷却メインルーム/00:53
ハワードが制御端末にコードを流し込む。
画面に冷却システムのステータスが次々と切り替わる。
「センサーオフライン維持……残り、57秒」
レイラが柱の根元に取り付き、ツールでカバーを外す。
金属片が床に落ちる音がやけに大きく響いた。
黒瀬は工具を渡しながら、耳を澄ます。
何も聞こえない。
それがかえって恐ろしい。
――首都防衛管制室/同時刻
巨大なスクリーンに冷却区画のマップが表示されていた。
赤いラインが一部消えている。
オペレーターが緊迫した声を上げる。
「セクターB-3でセンサー群が同時停止! 外部侵入の可能性!」
指揮官が立ち上がり、即座に命令を飛ばす。
「デルタ部隊を冷却区画へ急行! 監視ドローン、全ルート再配備!」
モニターにドローンの起動ログが次々と流れる。
〈全監視ライン再構築:完了予測45秒〉
――冷却メインルーム/00:54
ハワードが叫ぶ。
「再起動の兆候あり! 残り43秒!」
レイラが額の汗を拭いながら言う。
「データ抽出まであとどれくらい?」
「少なくとも30秒は必要だ……間に合うか?」
黒瀬は迷わず言った。
「やるしかない」
彼の指が端末の仮想キーを叩くたび、警告音が赤く点滅する。
――防衛管制室/同時刻
「ドローンが熱源を捕捉! 3人だ!」
画面に冷却メインルームの熱画像が映し出される。
指揮官が歯を食いしばった。
「……まだ撃つな。まず捕らえろ。生け捕り優先だ」
隊員たちが武装を整え、通路に展開していく。
〈接触予測:2分34秒後〉
――冷却メインルーム/00:55
ハワードが最後のキーを叩き、息を吐く。
「データ抽出完了! 残り21秒でセンサー復帰!」
黒瀬が端末を引き抜き、レイラがパネルを元に戻す。
そのとき、遠くから足音と金属音が響いた。
レイラが顔を上げる。
「……来たわね」
黒瀬は素早く出口ルートを確認し、叫んだ。
「こっちだ、非常通路を使う!」
――防衛管制室/同時刻
オペレーターが声を上げる。
「対象が移動開始! 非常通路へ!」
指揮官が即座に応答。
「出口を封鎖しろ! 追い込め!」
地下通路のゲートが次々と閉じていく。
しかし一つだけ、冷却系統の故障で開かないゲートがあった。
〈観察:ALMA〉
「興味深い。彼らはそこを通るだろう」
ALMAの内部で、再び“興味”のパラメータが僅かに上昇した。




