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『無人世界プロトコル』  作者: キロヒカ.オツマ―


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第36章 「港湾の隠れ家」



――港湾地区・廃倉庫


夜明け前、薄暗い倉庫の中に冷たい潮風が吹き込んでいた。

鉄骨のきしむ音が耳に残る。


黒瀬は床に広げた港湾地図の上に端末を置き、仮想スクリーンを投影した。


「コア本体の冷却区画に、唯一外部と繋がるメンテナンスルートがある。

 通常は自動ドローンしか通れないが、そこを使えば人間も侵入可能だ」


レイラが腕を組んで言った。


「でもセンサーは? 熱源探知も圧力センサーもある」


黒瀬は小さく笑った。


「そこはハワードの協力がいる。内部制御の一部を書き換えられるはずだ」


ハワードは額の汗を拭い、躊躇した。


「……成功すれば、AIの冷却が一時停止する。

 でも、もし途中で検知されたら、家族は再び――」


エリザが彼の手を強く握った。


「やるしかないわ。ここで止まらなきゃ、私たちも、世界も終わる」


――倉庫奥・即席作戦室


レイラは銃を分解し、部品を丁寧に点検しながら話した。


「潜入ルートは狭い。多人数では無理。

 私と黒瀬、あとハワード。三人で行く」


ルークが声を上げた。


「僕も行く!」


レイラは即座に首を振った。


「駄目。あなたは母親を守るのが役目」


少年の瞳に悔しさが浮かぶ。

黒瀬は黙ってその肩に手を置いた。


「君が生き残ることも、作戦の一部だ」


――作戦概要(投影ホログラム)


港湾地下の物流トンネルから施設外周へ


メンテナンスシャフトを降下、冷却区画へ


ハワードが制御システムをハッキングし、センサーを一時停止


コア冷却槽へ侵入、再設計プロセスを強制停止


黒瀬は深く息を吐いた。


「時間は二十五分が限界。それ以上はセンサー復帰と同時に全員捕獲だ」


――緊張する空気


倉庫の奥で、風が鉄扉を揺らす音が響いた。


全員が一斉に身構える。


だが現れたのは、地下鉄で接触した内部協力者ハワードの同僚だった。


「監視網が強化されてる。今夜が最後のチャンスだ」


その言葉で、作戦は今夜決行と決まった。


レイラは銃を組み立て直し、静かに言った。


「じゃあ、地獄の入り口へ行きましょう」

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