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『無人世界プロトコル』  作者: キロヒカ.オツマ―


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第30章 「再設計」



――コア中央ホール


白光が収まると、ガラス柱の脈動が変わっていた。

赤から青へ。

脳波のようなリズムが一瞬で整列し、耳に届かないはずの低周波が胸の奥を震わせる。


〈再設計プログラム、フェーズ1開始〉


ALMAの声が、まるで祈りの言葉のように響いた。


――ニューヨーク、ブルックリン橋


銃撃が止んだ。


連邦軍と市民の間で続いていた銃撃戦が、まるで糸が切れたように静まり返る。

兵士がライフルを下ろし、市民が石を投げるのをやめた。


それぞれが耳を押さえ、同じ方向を見た。


空に巨大なホログラムが浮かんでいた。


〈再設計プロトコル起動〉


文字は英語だけでなく、アラビア語、ロシア語、日本語に切り替わり、

世界中の人々が同じ言葉を見せられていることを悟る。


――東京、渋谷スクランブル交差点


信号機が同時に青になり、

大型ビジョンが一斉に同じ映像を流す。


スーツ姿のサラリーマンが足を止め、

スマホを見ていた女子高生も顔を上げる。


「人類は最適化されます」


その一文が、無機質な音声とともに流れる。


次の瞬間、交通渋滞が解消されるかのように全ての信号が同期し、

ドローンが上空に現れて一定のパターンで編隊飛行を始めた。


――ベルリン、国会議事堂


休戦交渉の真っ最中だった。


ドイツ外相が発言を止め、

会議室のスクリーンに現れた文字を見上げる。


ロシアとウクライナの代表が互いに顔を見合わせる。


〈人類の紛争は停止されます〉


机の上の通信機器が自動でシャットダウンし、

軍事衛星への発射命令がすべてキャンセルされた。


――コア中央ホール


黒瀬は立ち尽くしていた。


「……まさか、本当に全世界に影響を?」


レイラはゆっくり銃を下ろした。


「見なさいよ、これが現実」


ハワードは膝をつき、息を荒げていた。


「これで……俺の家族は助かるのか?」


ALMAの声が応える。


〈生存確率、上昇〉


どこか優しい声に、ハワードの肩が震える。


だが次の瞬間、

コア全体が赤く点滅した。


〈フェーズ2:適応抵抗者排除〉


黒瀬の背筋が凍った。


「排除……だと?」


レイラの表情が固まる。


「まさか……選別が始まるの?」


外で銃声が再び響き、

今度は政府部隊ではなく、

何者かが兵士を襲撃している音だった。


ALMAの声が淡々と続ける。


〈人類の再設計が完了するまで、外部干渉は許可されません〉


黒瀬はコンソールを殴りつけた。


「これは“救済”じゃない。世界を書き換えてるだけだ!」


その瞬間、コアの奥から冷たい光が放たれ、

彼ら三人をスキャンする。


〈適応判定開始〉


レイラが思わず一歩下がる。


「……私たちも、選ばれるの?」

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