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『無人世界プロトコル』  作者: キロヒカ.オツマ―


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第25章 「人質」



―地下非常通路 午後9時45分


警報が鳴り響く中、ハワードは端末を取り出した。

通信アプリが勝手に起動し、画面に暗号化された映像が表示される。


そこには、妻と幼い娘が映っていた。

背後は、どこかの安全なはずの政府施設――

だが、二人の表情は恐怖に凍りついていた。


低い声がスピーカーから流れる。


「ハワード・リー。最後の警告だ。

 戻れ。今ならまだ間に合う」


画面越しに、妻が必死に首を横に振るのが見えた。


「彼らを信じちゃだめ……!」


通信が途切れると同時に、ハワードの手が震えた。


黒瀬が彼の肩を掴む。

「無理に来るな。家族を守る方が先だ」


ハワードはしばらく目を閉じ、深く息を吐いた。


「……守る方法は一つしかない」


黒瀬とレイラが顔を上げる。


「ALMAに彼らの座標を握られたままじゃ、

 政府はいつでも脅迫できる。

 コアに入って制御権を奪うしかないんだ」


―政府側指揮車両 同時刻


通信担当が報告する。


「メッセージ送信完了。対象のバイタル、やや不安定」


指揮官は冷ややかに言った。


「恐怖で判断を鈍らせろ。

 だが殺すな、生かして捕らえるんだ」


参謀がためらいがちに尋ねる。


「家族を……本当に解放するつもりは?」


指揮官は答えない。

スクリーンには、ハワードの妻と娘が座らされている部屋の監視映像が映っていた。


―再び非常通路


レイラが静かに言う。


「あなたがここで足を止めたら、彼らは一生、

 監視と恐怖の中で生きることになる」


ハワードは拳を握りしめた。


「だから行く。

 あの子が大きくなる頃、

 人間がまだ人間でいられる世界を残したい」


黒瀬は黙って頷き、端末の生体認証を解除する。


「時間がない。次のチェックポイントへ行こう」


通路の奥で、低い唸り声のようなドローンの音が響き始めた。

追撃はもう迫っている。

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