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派遣の忍者『月光』  作者: ヒロっぴ
29/35

ー2ー











『あの子、久しぶりに見るでござるな。』




いつものカフェで窓の外を眺めながら、勘介が口を開いた。





乱魔の囮捜査が始まってから、そろそろ半月になる。




警戒しているのか、犯人の動きは無かった。




その間、勘介は忍者教室からは外れて、毎日武人と一緒に、このカフェで張り込みをしていた。






『あの子って?』




『あれでござるよ。』





と、勘介は通りの向こうを歩く小学生位の女の子を指差した。





『そんなの覚えてないよ。』




『そうでござるか。』





『何か気になるのか?』





勘介は難しい顔をして首をひねった。






『拙者、見破れない変装は無いと申したが、彼女だけはよく分からないでござるよ。』





『え?まさかあんなちっちゃい子が、女装とかじゃないよな。』





『それはないでござる。彼女は女性だし、ちっちゃい子と言っても、背が低いだけで、多分年齢は武人殿とそう変わらないのではなかろうか……』




『え?そうなの?年齢当てクイズに出れるな。』





武人は驚いて後ろ姿を目で追った。





『でも、年齢も性別も見破れてるのに、何が気になるんだ?』





『変装?……しているようにも感じるし、あれが本来の姿とも感じるし……ハッキリしないでござるよ……』






勘介はなんとも情けない表情でそう言った。






『なんだ。現代に来て忍法が弱くなったか?』




武人はからかい半分でそう言ったのだが、勘介は深刻な顔をして





『そうでござろうか……』






と言ったきり黙ってしまった。






『ま、【弘法も筆の誤り】っていう位だから、気にすんな。そもそも見破れないものはない、なんてのが傲慢なんだ。』






『は!肝に命じまする。』






それからしばらくすると、突然勘介が『武人殿!』と言って立ち上がった。





『どうした?』





『犯人を捕らえたようでござる。』







乱魔から武人へ忍法で連絡が入ったらしい。



今風に言えばテレパシーというやつだ。





『よし!』



武人が店の出口へ向かおうとすると、『どこ行くんでござるか』と、勘介に引っ張られ、トイレに連れられた。




武人の手を引き、広い多目的トイレに駆け込んだ勘介に武人は、





『いや、俺そーいう趣味はないから……』





と言って、勘介の手を引き剥がす。





『何を言ってるんでござるか!二つ先の駅なので、電車で行ったんでは間に合わないでござる。』





勘介はそう言うと再び武人の手をとり、






『行くでござる!』







と言った瞬間、二人は薄暗い空間に移動していた。





今で言うテレポーテーションに該当する忍法【神隠し】である。




移動先は用具室のようで、様々な物が置かれていた。





勘介がバーンとドアを開けると、どこかの駅の構内に出た。





『こっちでござる!』




ホームへの階段をかけ上がる勘介を武人は追った。







すると、調度到着した電車から怒声が響いた。






『離せ!離せってば!』






変装した乱魔の股間に手を突っ込んだまま、電車から引きずり出されるその人物は、先程勘介がよく分からないと言っていた小さな女の子だった。





だが、その形相は可愛い女の子のものではなく、声も野太い男性の声だった。





乱魔はスカートの中に強力な鳥もちを仕込んでいた。




万次郎特製の鳥もちは、専用の薬液を使わなくては剥がれない。






かくして犯人は、女性(乱魔)のスカートの中に手を突っ込んだまま逃げられないという情けない姿を披露していた。






そして、そのままの格好で駆けつけた警察官に取り押さえられ、乱魔と仲良くパトカーに乗ることになった。





.



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