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派遣の忍者『月光』  作者: ヒロっぴ
28/35

痴漢撃退




        ー1ー






『武人殿~!』




町中まちなかでいきなり呼ばれて、武人はギクッとして振り向いた。




すると、勘介が手を振りながら駆け寄ってくる。その後ろには茜もいた。




『お前、バイリンガルはどうした?』




武人に聞かれた勘介が答えるより早く、追い付いた茜が、




『そうよ、勘介。こんな町中まちなかで恥ずかしいじゃない。』




と、まわりの視線を気にしながら言った。





『いや、しかし武人殿がこのままでもいいと……』




最近は茜に頭の上がらない勘介が、必死に弁明するのをほのぼのとした視線で見ながら、




『いや、お前はその方が似合ってるから別にいいんだけど、人前で大声で呼ぶのはやめてくれ。』




と、武人は言った。





『申し訳ない。それで、武人殿はどちらに?』





『ああ、親父に呼ばれて警察に行くとこだけど、丁度よかった。仕事の依頼らしいからお前らも来てくれ。』








 警察署につくと、小さな部屋に通された。



そこには康人と、後輩刑事の宮田がいた。





『おお、来たか。……なんだ、勘介と茜も一緒か。』





『その節はお世話になりました。』





宮田が頭を下げる。




オレオレ詐欺の件では茜が大活躍だったのを宮田も知っている。




『いえ、あの……その……』






茜は、顔を赤くしながら照れている。





忍術で妖艶な女性に化けることの出来る茜だが、根がウブなだけに正気に返ると毎回恥ずかしい思いをしている。




最初の露出狂の事件もオレオレ詐欺も、茜が大活躍した訳だが、今回は秘密裏に正式な依頼がかかったのだ。




電車内での痴漢行為。





かなり悪質な被害が出ているらしく、スカートの中に手を差し入れて執拗な行為に及ぶという。




大胆な手口だが、あまりに躊躇がないので、恐くなって声を出せないというのだ。




現行犯でないと捕まえられないが、犯人は鼻が効くらしく、周りに私服の捜査員がいると、手を出さないらしい。



また、そこまで大胆な犯行だと分かっているので、囮捜査に協力する女性捜査官も中々見つからないという。




内容的には茜が最適だと思われるが、犯行に及んでからでないと捕まえられないことから、茜にはやらせたくないというのが、勘介、武人、康人の共通した意見だった。




『そういうことなら、乱魔が適任でござる。』





勘介の一言で、急遽乱魔が呼ばれた。





オレオレ詐欺の際には、百合の祖母に化け、まんまと犯人を欺いた実績がある。




その変装は勘介にしか見破れないというから、間違いないと思われる。




犯人は捜査員の臭いをかぎ分けるようなので、乱魔以外はホームにも入らず、捕まえてから連絡するということで、計画が練られていった。




今のところ、ある程度の路線は判明しているものの、時間帯や曜日等もバラバラで絞り込めずにいた。




ただ、犯行が行われるのはかなり混んだ車両ということと、ドアの近くであるということ、周りに怪しい男性は見当たらなかったということが共通していた。



また、ターゲットになるのは、比較的年齢の若い女性だということだ。



たいていが高校生位の年齢で、制服ではなく私服の時に狙われている。




20代の被害者もいたが、見た目は高校生と言っても通るような容姿をしていた。




その辺りを考慮した上で、翌日から乱魔の囮操作が始まった。




今までの被害者から推察し、犯人が狙いそうな女性に化ける。




そして犯人が利用しているであろう路線の一つに、毎日同じ時間同じ車両に乗って犯人が接触してくるのを待った。




勿論それは混んでいる時間帯を選んだ。





犯行の時間や曜日等がバラバラな状況で、こちらもバラバラに行動していては、すれ違う可能性が高い。




その為、朝夕の決まった時間帯に狙いを定めたのだ。





乱魔の変装は完璧だった。目の前にいても、それが乱魔だとは分からない。





スラリと背の高い今どきの女子に化けていた。






『あれが乱魔でござるよ。』





駅の入り口が見えるカフェで張りこんでいると、勘介がそう言った。





『何でわかる?』




『拙者に見破れない変装はないでござるよ。例え忍法で化身していても、拙者には分かるでござる。』





勘介は自信満々でそう言ってから、顎でしゃくるように




『あれは女装でござるな。』





と言った。





『マジか。』





女子にしか見えない。





『こっちは男装でござるな。』





と、いかにもモテそうなイケメンを指差した。






『恐ろしい能力だな。』





武人は苦笑いしながらコーヒーを飲んだ。




この日、乱魔は犯人のターゲットになることもなく、そのまま10日ほどは成果のないまま過ぎていった。



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