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派遣の忍者『月光』  作者: ヒロっぴ
25/35

フライングスワロー



       

         ー1ー






『フライングスワロー?

なんだそりゃ?』




武人は勘介に聞いた。




ここは日輪大学近くの喫茶店。




武人は、久しぶりに忍者教室の様子を見ようと思い、今日の担当の勘介と一緒に大学へ行く途中、時間調整も兼ねて食事をしている所である。




最近の忍者教室の様子を聞いたところ、勘介が変なことを言い出したのだ。





『最近、またフライングスワローの人が増えた……』とか……




勘介はナポリタンをパクつきながら答える。




『飛燕のファンクラブの名前でござるよ。』




『ファンクラブなんかあるのか?』





武人は驚いた。

確かに飛燕は美形だし、飛燕目当てに入部した女子部員も少なくない。




しかし、ファンクラブとは……






『最初は忍者研究会の部員たちが騒いでるだけでござったが、今は部外の人も含めたファンクラブが出来たでござるよ。』




『なるほど……』






武人は忍者研究会の初日に飛燕に群がっていた女学生達を思い出していた。



そして、ふと気付く。






『茜ちゃんは?

まさか茜ちゃんにもファンクラブが?』





『茜のファンクラブも出来そうでござったが、茜が嫌がるので、無いことになっているでござる。』





『そうか。』




武人はホッとしたが、『ん?』





『無いことになっている?』




『茜には内緒で、親衛隊なるものがあるでござるよ。』





勘介は苦笑いした。






『それって、例のオタク三人組が?』




『まぁ、そうでござるな。他には大場殿も入っているでござるよ。』





武人は『ふーん』と言って、ピラフを口に運ぼうとしたが、





『大場?』




と言って驚いた顔で勘介を見た。





『大場って、あの大場か?』




『そうでござる。』







大場は、忍者教室の活動に因縁をつけ、道場に押し入った総合格闘倶楽部のリーダーである。




忍者達の策略により、オタク三人組の一人である田之浦に負け、忍者研究会に入部していた。





『なんで大場が?』




『大場殿は最近田之浦殿達と仲がいいでござるよ。』





『た、田之浦君と?』





武人は思わず声が裏返ってしまった。





『何でも、オタクに目覚めたとかで、一緒にメイド喫茶とやらにも行ってるでござるよ。』







『あー、そう……』





武人はあの強面の大場が田之浦達と一緒にメイド喫茶でニヤケ顔をしているのを想像すると、苦笑いするしかなかった。






『そういえば、今日は飛燕は?』




『飛燕は休みでござるよ。』




『休みの日って何やってんだ?』




『飛燕はカフェ巡りをしていると言っていたでござる。』





『カフェ?なんでまた。』





『カフェに行くと、女性の視線がクセになるそうでござる。』





『そんな不純な理由でか?』





武人は思わず突っ込んでいた。






『まぁ、多めに見て下され。飛燕は我々の時代では女人に全く相手にされなかったので、舞い上がっているのでござるよ。

それに、本当に珈琲が好きでござるし。』





『飛燕が珈琲好き?』





武人は聞き返した。





『いつから?』




『いつからって……』





勘介は少し考えてから、





『殿に連れられて出掛けてからでござるかな?』





武人はやっぱりという顔をした。





『飛燕のイメージカラーって黒だったよな?』




『そうでござるな。』




『……源太にカレー喰わせた時と一緒か……』





武人は康人がピースしている様を想像した。





目の前で勘介はナポリタンを旨そうに食べていた。





『ちょっとまて!』




勘介は『ん?』と顔を上げる。






『お前、ナポリタン好きか?』




『大好物でござる!こんな旨いもん他に無いでござるよ。』




源太と同じようなことを言っている。






『まさか親父に無理やり食わされたんじゃ無いだろうな。』





『無理矢理だなんてとんでもない!『旨いから食ってみろ!』って言って、何度もご馳走になったでござるよ。』




『そうか……ちなみに、お前のイメージカラーは?』




『何を今さら。赤でござるよ。』





武人の質問の意味に全く気付かず、勘介は旨そうにナポリタンを完食した。




『もっと食うか?』



『いただきます!』






元気に目を輝かす勘介を見ながら、武人は『ま、本人がいいならいいか……』と呟いた。







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