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派遣の忍者『月光』  作者: ヒロっぴ
22/35

イエロー






          ー1ー




オレオレ詐欺の一件の後、武人は休みを取って百合とデートしていた。



『でも、本当に良かったわ。武人達がいなかったら、お婆ちゃん騙されてたもの。』





『いや、こっちも助かったよ。百合が気付いてくれたから、捕まえることが出来たんだし。』





『やっちゃんも大活躍だったしね。』





百合が満面の笑顔でそう言うと、武人はあえて反論したくなった。





『いや、親父はたいして活躍してないだろ。』






『えー。でも、やっちゃんの采配なんでしょ?警察の人との連携もやっちゃんがしてたんだし。』





『そりゃそうだけど……』





百合は親父が忍法教えろって駄々こねてるの見てないからな。






と、武人はその時の事を回想してみるが、はたと思い付く。






いや、きっと百合が見てたら『やっちゃん可愛い!』とか言い出すに違いない。





武人がそんなことを考えていると、





『あれから大変だったんだから。』




と百合が言い出した。




『何が?』





『久しぶりだからって、お婆ちゃんもウチに来たんだけど、私達が三人で楽しそうにやっちゃんのこと話すもんだから、お母さんがズルイとか言い出したの。』




『ズルイ?』





『私もやっちゃんて呼びたいって。』





百合は笑って言うが、武人は冷や汗をかいていた。





『勘弁してよ。まさか親衛隊とか言わないだろうなー。』





『あ、それいいかも。』






今日も藪をつついて蛇を出すのが得意な武人だった。






 しばらくそんな他愛も無いことを話しながら歩いていると、突然百合が足を止めた。




『あれ?』






ガラス越しにカレーショップの中を見ている。





武人もつられて百合の視線を追うと……





『あ!源太!』






カレーの大盛りをパクつく源太がいた。





『私たちもカレーにする?』




『百合がいいなら。』





『じゃ、行こ!』





二人で店の中に入ると、源太に声をかけた。




『源太。』



『あ、武人さん。』



お頭と言われるかと思ってヒヤヒヤしたが、さすがバイリンガルだ。





『また親父にカレー食わされてんのか?』



『え?社長?』



源太は大きなからだに似合わず、キョトンとした視線を康人に向けた。


『親父にカレー食うように言われてんだろ?』



『そうですよ!こんな旨いもん教えてもらって感激っスから、毎日食ってますよ!』




あれ?そうなの?





『無理やり食わされてんじゃないの?』





『何言ってんスか!こんな旨いもん、食うなって言われたって食いますよ!』




源太のあまりの力説ぶりに、武人は後退りしながら、




『そ、そうなんだ?……それは良かった……』




と言って苦笑い。





百合が『さすが、やっちゃん。』とか言い出したので、とりあえずこの話は切り上げることにして、テーブル席に着いた。




『源太もこっちに来いよ。』



『いや、しかし……』



と遠慮する源太に、




『もう一杯食っていいから。』




『お邪魔します!』




すぐに移ってきた。





席について注文するとき、源太は大盛りを注文した。




『どんだけ食うんだよ。』



『すいません。』




『源太さんも可愛いね。』





と、百合はニコニコしている。






『ところで今日は何やってんだ?』




『パトロールっス。』




『パトロール?』





武人は百合と顔を見合わせた。





『何で?』





『社長が、ヒーローは活躍するべきだ。って言い出しまして、町を見回ってるっス。』




『活躍ったって……』




と、武人は隣の百合を気にしながら話を続ける。



今にも『やっちゃん、すごい!』とか言い出しそうなキラキラした瞳で源太の話を聞いているからだ。




『具体的にどうするんだ?』




『さあ?とにかく、危機や悪人から人々を救うんだってことっス。』




『…………』





武人は呆れて声も出ない。




『それで?それで?』




百合は食いぎみに続きを促した。





『バレない程度に忍法を使っても構わんって言ってたっスね。』




『は?』




『忍法使っていいの?』




どうやら百合の琴線に触れたらしい。




『こないだの佐助や平太さんみたいなのはマズイけど、宙に浮いたり壁を通り抜けたりとか、マジックだって言い張れるようなもんならオーケーって言ってたっス。』





『いや、そんなこと言ったら、佐助のだってハッキングだって言い張れるし、平太のだってマジックだとか小型ロボットだとか言い張れるだろ。』





『そうよ!使っちゃダメなものなんてないのよ!』




百合の様子を見て武人はシマッタ!と思ったが、後の祭りだった。





『親父、段々隠す気なくなってきたな……』






その時、店の外で車の急ブレーキの音と、衝突音。そして人々の騒然とする様子が伝わってきた。





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