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派遣の忍者『月光』  作者: ヒロっぴ
20/35

ー3ー






『ご苦労だった。』




武人達が帰ってくると、康人が迎えた。






『帰って早々悪いが、この後の作戦を伝えるので、集まってくれ。』




『忍者教室に行ってる連中はまだ帰ってきてないけど、いいのか?』






『次は俺も出るし、このメンバーがいれば大丈夫だ。』





そこまではキリッとした態度で話していた康人だったが、いきなり相好を崩した。




『キミ達、凄いじゃないか~。』




猫なで声で平太や佐助の肩を叩く。





『と、殿?』





二人とも引き気味で康人を見た。




武人の隣にいた乱魔は被害を受けずに済んだ。






『それにしても、インターネットに入り込むとか、動物が見たもの見えるとか、凄すぎだろー。』




『は、はぁ……』






『それで、どうやったらそんな事出来るようになるんだ?意地悪しないで俺にも教えてくれよー。』




『親父!』




『なんだよ。』




『だから、忍法は一族じゃなきゃ使えないって言ってたろ!』



『けち!』





武人はため息を着いた。




『全く……』





康人は自分の席に戻ると、机の上に両ひじをついて手を組むと真顔になった。




『あー、じゃあ次の作戦だが……』




『切り替え早っ!』





武人は突っ込まずにはいられなかった。









 翌日。



作業服に着替えた武人と康人は、車に乗ってかけ子のいるアジトへと向かった。




作戦の前段階で、平太の操るネズミが盗聴機をくわえてアジトの壁の中に侵入していた。




アジトのあるマンションに着くと、外では宮田達私服の刑事が物陰に隠れて待機していた。





マンションのオートロックの前に来ると武人が事務所にいる佐助に電話をかける。



するとインターネットに侵入した佐助がオートロックを解除する。





開いた扉をくぐりながら、武人は




『ハッキングどころの話じゃないな……』





とあきれた。






アジトは二階の非常階段に近い隅の部屋だった。




康人は盗聴機の電波を探知する機械のスイッチを入れると、ビービー鳴らしながらインターホンを鳴らした。





『はい……』





『あ、すいませーん。私この階の別の部屋のかたの依頼で盗聴機の調査に来ていた業者なんですが、お宅からも盗聴電波が出ているようなので、お知らせした方がいいかなと思いまして……』






そ言うと、中では何やらざわざわしている様子が伝わってきた。





『どうする?盗聴機だってよ。』



『ヤバいだろ!』



『でも、ここ借りるとき調査したって言ってたよな。』




『なおさらヤバいだろ!俺達が交代で常に誰かいることになってんのに。』




『いつの間につけられたんだよ。』



『知るか!でも取ってもらわないとヤバいだろ!』




『石戸さんが出掛けてる今のうちに。』



『でも、そろそろ帰ってくるぞ!』



『だから、すぐ取ってもらうんだよ!』



ドアが開いたと思ったら、いきなり『すぐ終わるんだろうな?』



と言って中に引き入れられた。



『はいはい、すぐ分かりますよ。』




康人が惚けた感じで探知機を操作すると、『早くしろ!』と急かされる。




『あー、ここですねー。』




康人がのんびりとした口調でコンセントを指差すと、




『取ってくれ!いくらだ!』



と、財布を出しながらも、




『はやく!早くしろ!』




と、急かす。




そんなとき、




『何やってんだー!』



と石戸が怒鳴り込んできた。





『すいません!石戸さん、盗聴機が……』



『盗聴機だとー!』




突然パソコンの画面が切り替わったと思ったら、それぞれのパソコンから一斉に音声が流れ始めた。





『あ、オレオレ。俺だよ。実は会社で横領がバレてさ……』




『……そうなんだよ。その相手がヤクザで……』



『……俺だって。そう、キヨシだよ……』



『……悪いけど、50万振り込んでほしいんだ……』





月光の事務所では、パソコンの前に座った佐助が、目を閉じて遠隔で操作している。





『えー!ここってもしかして、オレオレ詐欺のアジト?』




わざとらしく大声で叫んだ康人と武人を周りの人間達がとらえようとする。




それを交わしながら、逃げる武人。



同じように逃げる素振りを見せながら窓を開けた康人は、大声で叫んだ。




『助けてー!殺されるー!』





『ばか!やめろ!』




慌てて窓を閉めたが、すぐにドアの方から数人の男達が飛び込んできた。




『どうしましたか?』




外で待機していた宮田達だ。





『助けて!この人達に殺される!』



泣き真似をしながら訴える康人に苦笑しながら、宮田は、




『大丈夫です。僕たちは警察です。』




と言った。





『警察!』





慌てて窓から逃げようとする男達を武人と康人が、倒していった。




騒然とする室内。



パソコンからはオレオレ詐欺の証拠の音声が流れ続けている。





男達を捕らえた宮田は、




『署の方で詳しく話を聞かせてもらいますよ。』



と言った。




『クソッ!』




次々と連行されていく男達。



最後に残った宮田に、ウインクしながら康人は言った。




『これなら令状いらないだろ?』




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