終幕 花見
「おお。今年も桜が満開じゃのう」
「うむ。所で、お主の娘や孫も来るのか?」
「来るぞ。だから今日は親族一同で花見じゃわい。お主の嫁も来るのじゃろう?」
「もちろんじゃ。花見は毎年やっておるからな」
「そうか。しかし改易処分にならずに本当に良かった。そうなったら花見どころではなくなってしまっておったからな」
「減移封で済んだのは幸運じゃった。改易処分もやむを得ないかとは思って居ったが」
「うむ。これで我らは露頭に迷う事は無くなり、何の憂いも無くこうして花見をする事ができるようになったのじゃ」
「そうじゃな。さて、酒の用意もできたし、後は嫁たちが来るのを待つだけじゃな」
「嫁、か・・結局戦場で手柄を挙げられず、いつまでも貧乏侍のままじゃったな。その分苦労を掛けた」
「・・わしもじゃ。古い着物を使い回しさせてしまう事もしばしばあった」
「人生で一度位は戦場で手柄を挙げたかったのお」
「そうじゃな」
「まあしかし、悪くない人生ではあったかな」
「うむ。戦場から逃げて生き延びた訳ではないからの。挑み続けたが、その機会が訪れなかったというだけの話じゃ」
「確かに」
「む、嫁が来たようじゃな。お主の嫁と娘、そして孫も一緒のようじゃ」
「今日は暇な一日ではなくなりそうじゃな」
「うむ。飲んで歌って、そして皆で花を見ながら踊ろうぞ!」
「応!」
完




