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其の六十一 にらみ合い
「久しぶりに戦に出れたというに、単なるにらみ合いのみで終わってしまうとは・・」
「あくまで牽制じゃからな。そのお陰で猿の軍勢が家臣団の一人との戦に勝利したのじゃから、大殿様の株も上がったじゃろう」
「そうじゃな」
「これで猿の天下取りはほぼ決まりじゃろうな。うつけのように謀反等があった場合は話は別じゃが」
「と、なれば戦はもう無くなるのか?」
「このまま行けばな」
「ううむ・・そうなると我らの出世の道は閉ざされてしまうのお。さりとていつまでも戦の世が続くのもどうかと思えるし・・」
「これからは我らも戦働き以外の身の処し方を考えねばならんな。場合によっては畑仕事もせねばならぬやもしれんぞ」
「畑仕事か・・それよりも漁の方をやりたいのじゃが・・」
「わしは畑仕事でも別に構わぬがな」
「・・やはり船造りを始めねばならんな」
「漁に出るには船が必要じゃからな。まあ、気張って造るのじゃぞ」
「待つのじゃ」
「は?」
「一人では日数が掛かってしまう。お主も手伝ってくれ」
「二人でも変わらぬと思うぞ」
「それを海に浮かべ、二人で大海原へ漕ぎ出そうぞ!」
「無理じゃな」
「た、頼むうううう!二人で船を造り、海へ出ようぞおおおお!」
「ええい、離せ!お主と二人で荒れた北国の海など危険すぎるわあああああ!」




