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其の五十八 猿
「うつけを討ち取った謀反人がもう討ち取られたというのか?」
「うむ。本城から戻ってきた兵からの情報じゃからな。間違いあるまい」
「あっけないのお・・。で、その者を討ち取ったのは誰じゃ?」
「猿じゃ」
「は?」
「正確には猿顔の男じゃな。うつけから猿、猿、と呼ばれておったらしい」
「・・うつけも酷な事をするのお」
「その猿がうつけの仇を討った事により大きく株を上げておるらしいぞ。このまま行けば天下取りの一番手になるやもしれん」
「ふうむ・・うつけの次は猿か・・そう聞くと何やら天下も安っぽく聞こえてしまうのお」
「そうは言ってもじゃな、もしも猿が天下を取ってしまった場合、我らは猿に頭を下げる事になるぞ」
「・・うつけよりはましではあるか・・」
「悪評は聞かぬからな。まあ、これからどうなるかはまだまだ分からぬ」
「うむ。しかし北国の海は荒れるのお。筏では到底沖に出れぬわい」
「・・また筏を造る気でおったのか・・」
「やはり本格的な船が必要じゃな。材木の調達を進めよう。ほれ、お主の分の斧じゃ」
「わしは伐りに行かぬぞ」
「薪は必要じゃろう?北国の冬は冷えるぞ」
「・・・」
「よし、準備できたな!山に突撃じゃああ!」
「・・こ奴、頭を使い始めよったな・・」
「何か言うたか?」
「いや、何も・・」




