其の四十七 嫁がおらぬ
「どうやら北の大名が亡くなったようじゃ」
「そうか。ならば嫡男が跡を継ぐのじゃな」
「嫡男はおらぬぞ」
「何?子ができなんだのか?」
「違う。北の大名は嫁がおらぬのだ」
「嫁がいない?どういう事じゃ?普通は跡継ぎを残すために嫁をもらうじゃろう」
「それがどういう訳か北の大名は嫁をとらなんだのじゃ。じゃから跡継ぎはおらぬ」
「侍女にも手をつけなんだのか?」
「子がおらぬという事はそういう事じゃろう」
「ふうむ・・北の大名とはよくわからぬ男であったのじゃなあ」
「家臣も苦労したじゃろうな」
「うむ。という事は親族の誰かが跡を継ぐのじゃな?」
「そうじゃろう。ただ、後継者争いが起こるのは確実じゃろうな」
「確かに。そうなると今結んでおる同盟関係はどうなるのじゃ?」
「維持はされると思うが・・どうなるかはわからん」
「同盟破棄となれば戦になる、か。久々に槍の素振りでもやっておくか!」
「槍の素振りは結構じゃが、わしとしてはあれを何とかしてほしいのじゃがなあ」
「う・・」
「あの丸太の残骸と縄の残骸はどういう事じゃ?何故わしの屋敷の前に置いた?」
「・・屋敷の改造をしていたのは知っておるじゃろう?」
「うむ」
「これが嫁を鬼にしたのじゃ」
「は?」
「壁に穴を開けるなぞ言語道断!娘が寒さで凍えたらどうしてくれる!丸太が当たって死んだらあんたを道連れにしてやる!・・とな」
「・・・」
「それは恐ろしい形相でな。薙刀を持ち出して怒り狂いおった。・・丸太と縄を敷地内に置くことも許されなんだわ」
「・・・」
「・・そうじゃ!お主なら嫁の怒りを治め、改造の許しを得る事ができるはず!一緒に嫁を説得してくれ!」
「ええい、離せ!鬼を説得する事など閻魔大王様以外できぬわあああああ!」




