其の四十六 丸太
「前の大殿様が亡くなっていたというのは本当か?」
「本当じゃ。二度目の遠征の際発病してそのままお亡くなりになったらしい」
「なるほど、それをこれまで秘密にしておったという事か」
「うむ。家臣たちの動揺を抑える為と周辺国への睨みを維持する為にそれが必要であると考えたのじゃろうなあ」
「周辺国への睨み・・のお。案外早いうちから知られておった可能性もあるのでは?他国の忍びが嗅ぎまわっておるやもしれぬし」
「その可能性はある。じゃが、それを知ったとて以前までの大名家であれば手出しもできなかったであろうよ」
「そうじゃなあ。それだけに此度の負け戦は本当に痛い」
「今の大殿様はお家の状況を好転させようと必死になって外交や戦を行っているとか」
「自らが引き起こした負け戦じゃからな。必死にもなるじゃろう」
「うむ。それはそれとして、お主、あの屋敷の有様はどうした?」
「・・改築をしておるだけじゃ」
「いや、あれは最早改築とは言わぬぞ。何じゃあの壁からはみ出た丸太は?」
「仕方ないであろう。からくりを考え、それを屋敷に設置した結果じゃ」
「丸太は何のためにつけた?」
「丸太を縄で天井から吊り下げる。そしてそれを穴を開けた壁に挟み込んで襲撃者が来たら横から相手に襲い掛かるというからくりじゃ」
「・・あれでは挟み込んだ壁から丸太が出てこぬぞ。出てきたとしても威力が弱い。それよりも釣り鐘をつくような形にすれば威力が上がる」
「・・お、おおおおお!」
「しまった!」
「よし、お主の知力、存分に発揮してもらうぞおお!」
「わしはやらぬぞ!絶対にやらぬぞおおおお!」




