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暇人侍  作者: 一斗
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其の三十九 北へ

「また引っ越しとはなあ・・」

「仕方あるまい。大殿様がご病気で隠居なされて、支配体制が大きく変わってしもうたのじゃから」

「それにしてもまた配置換えとは・・しかも今度は北に行けと。海の次は山か・・」

「文句を言うても始まらん。それに当分ここらあたりでは戦はないであろうしな。新しい場所でそれを待つという手もあるじゃろう」

「それもそうじゃが・・」

「何じゃ、何か心配事でもあるのか?」

「娘の荷物も新たに加わってのお・・」

「・・残念じゃが、今回は荷車は貸せんぞ。わしの所も嫁の分が新たに加わったからな」

「それは分かっておる。じゃがその荷物の量が・・」

「一体どれ程貯めこんでおるのかは知らぬが、持ち出せる量を超えるのならば近所やわし以外の知り合いに配るなりすれば良かろう。嫁のわがままに付き合うのも程々にせねばいずれ身を滅ぼすぞ」

「・・いや、嫁と娘の荷物は何とか積めたのじゃ」

「どういう事じゃ?」

「わしの荷物が積めぬでな」

「お主の荷物と言えば刀と少数の着物、武具くらいじゃろう?武具は着ていけば問題ないのではないか?」

「それだけではない」

「は?」

「筏も持っていかねばならん。あれを今度は川で使うのじゃ」

「置いていけ」

「今度はお主と川釣りをせねばならん。よし、二人で協力して持っていくぞ」

「置いていけと言うておろうがああああ!」

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