其の三十四 西の大名
「どうやら東の大名との同盟が成立したらしいのお」
「うむ。あちらの大殿様が亡くなり嫡男が跡を継いだ影響じゃと言われておる。詳しい事はわからぬが」
「とにかくこれで東の大名を気にする必要は無くなった訳じゃ。いよいよ戦に出れるぞ」
「戦に出るとなればまず当たるのが西の大名か。前の大殿様を最初に裏切った謀反人じゃな」
「大殿様が討ち取られた後真っ先に裏切ったといわれる者か」
「そうじゃ。そしてあの女城主もその大名の家臣になっておる」
「何!?それはまことか!?」
「うむ。女城主の居城は通り道にはないらしいが、別動隊が城を襲うじゃろうな」
「そうか・・その女城主の命運もとうとう尽きるか・・」
「仕方あるまい。城主になったからには敗れれば腹を切るしかなくなる。それは本人も分かっておろう」
「そうじゃな」
「そして西の大名を滅ぼせば、次は大殿様を奇襲で討ち取ったあのうつけと戦う事になるじゃろうな」
「今回の戦は何やら因縁めいたものが多いのお」
「うむ。それでこそわしらも戦のし甲斐があるというものじゃ」
「ならばもうすぐこれの出番がやってくるな」
「その袋は何じゃ?」
「石が入っておる。蹴り石用じゃな」
「・・用意しておったのか」
「もちろんじゃ。石の選別も済ませておるし、後は実践あるのみじゃな」
「以前にも言うたが、蹴った石を騎馬武者に当てるのはかなり難しいぞ。どうするつもりじゃ?」
「それは囮を・・」
「わしはやらぬぞ」
「そうじゃろうな・・。じゃから至近距離から蹴って当てる。これしかあるまい」
「ならば刀で斬ればよいではないか」
「刀を構えておらねば相手も多少は油断をするじゃろう。そこをつくのじゃ」
「そのような事をしておったら乱戦になれば逆に斬られるぞ」
「あ・・」
「蹴り石はよほど余裕のある時でなければ使えぬ」
「よし、ならばお主は蹴る体制のわしを全力で守るのじゃ!」
「いい加減蹴り石から離れぬかああああ!」




