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暇人侍  作者: 一斗
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其の二十九 敵方の船

「予想通り、わしらは留守番に回されたのお」

「うむ。やはり東の大名の脅威に対処せねばならなかったようじゃな」

「わしらのようにこの地に移住させられた者の大半が留守番になったと聞く。その者たちも無念じゃろうて」

「元々家臣じゃった侍たちと違う扱いをされるのは覚悟しておったがな・・」

「しかしこのままでは手柄を挙げられぬまま大殿様が天下を取ってしまわれるのではないか?」

「その可能性はあるが、まだまだ敵は多いはずじゃ。京を取ったとしても大殿様に従わぬ勢力は必ず現れる。その時に手柄を挙げればよい」

「そうじゃな。まだ望みはあるか」

「うむ」

「まあどちらにせよ、我らには大殿様のご武運を願う事しかできんな。・・ん?」

「どうした?」

「船が数隻、西へと向かっておるぞ」

「いつもの貿易船ではないのか?」

「いや、見た事が無い船じゃ。・・もしや敵方の船か!?」

「何!?」

「大変じゃ!よし、追いかけるぞ!」

「どうしてそうなる!?」

「なに、わしの船があれば余裕で追いつく」

「筏じゃろうが!追いつけるはずなかろう!」

「大丈夫じゃ!行くぞ!おおおおおお!」

「・・筏で海に出よった・・」

「よおし、追いつくぞ!む!?縄が緩んでいく!?何故じゃ!?」

「・・・」

「しまった!やはり安物の縄じゃったか!木が離れて・・しまったあああああ!」

「筏が崩れていっておる・・」

「き、着物に水が染み込んで重くなるううううう!」

「・・助けに行くか・・」

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