其の十七 嫁が来る
「ようやくわしにも嫁入りの話が来たぞ!」
「・・は?」
「何じゃそのあからさまな疑いの目は」
「当たり前じゃろう。戦が終わりつつあるとはいえ、まだ相手の出方次第ではどうなるかわからん情勢じゃ。その段階で嫁入り話が舞い込むのは考えられぬ」
「確かに。じゃが、昨日上役からその話を聞かされてな。相手側もこの話を了承しておるそうじゃ」
「上役からの紹介ならば嘘偽りは無いか・・。相手は誰なのじゃ?」
「上役の兄上の娘じゃそうな。名はお菊というらしい」
「そういえば上役には兄がいたな」
「うむ。わしもそろそろ身を固める時期じゃしな。この話を受けようと思う」
「そうか。まあ、好きにするがよい。ただ、嫁をもらうからにはその浪費癖は何とかせねばならぬぞ。間違っても宝の地図のような真似はするな」
「う・・わ、分かっておる!嫁にそのような苦労をかける気は毛頭無い」
「それならば良い。・・しかしお主が嫁をもらう、か。わしもそろそろ身を固めねばのお」
「お主にもいずれ嫁入り話は来るじゃろう」
「うむ。ああそれと、蹴り石もやめるのじゃぞ」
「蹴り石もか?」
「当たり前じゃろう。蹴った石が誰かに当たれば大事になり、最悪嫁を未亡人にしてしまうぞ」
「そうか・・ならば嫁をもらう前に蹴っておくか」
「どうしてそういう話になる」
「この三つの石が最後じゃ」
「いやだから、話を聞いておらなんだのか?嫁入り話はもう来ておるのじゃぞ?」
「それっ!それっ!それっ!・・あ!」
「あ・・」
「しまった!石が逸れて・・何故逃げる!?」
「あそこは上役の兄上の屋敷じゃああああ!」
「・・うわあああああああ!」




