其の十二 馬
「戦支度を始めねばならんな」
「うむ。とはいえ、わしらは城主様やその家臣とは違って胴鎧や陣羽織、それと武器類を用意しておけば済む話ではあるがな」
「馬を持てるような身分ではないからな」
「馬は管理が大変と聞くが」
「わしの叔父が馬持ちの足軽でな。管理をするための出費がかかるとぼやいておったわ」
「生き物じゃからな」
「しかし、やはり武士と生まれてきたからには馬に乗って戦場を颯爽と駆け回ってみたいものよ!」
「騎馬武者は華があるからの」
「この後に起こる戦で武功を上げれば出世が叶うかもしれん。負けておれんわい」
「相手の騎馬軍団とどう戦うかじゃな。槍の長さを利用して相手の馬の脚を潰して転倒させるのも有力じゃが・・」
「相手の馬、か・・」
「・・戦闘中に相手の馬を奪うなど至難の業じゃぞ。やめておけ」
「いや、できるぞ。まずこの握りこぶし大の石を袋に入れて用意し、それを蹴って騎馬武者の頭に当てるのじゃ。相手がすっころんだ所を素早く近づいて馬の手綱を・・」
「待て待て待て。そのような技ができるはずなかろう。こちらに向かってくる馬に向かって石を蹴ろうものなら馬に当たってしまうわ」
「ううむ・・ならば誰かが囮になって騎馬武者を引き付け、そしてわしが石を・・」
「だ、れ、が、囮になるのじゃ?ん?」
「いや、誰じゃろうな、ははははは・・・」




