花火とお揃い(宮・めぐ)
完っ全にはぐれたな……。さっきから電話をかけてるけど、電波が混み合ってるせいで蓮とも久遠とも凛斗とも繋がらない。はぐれた時の集合場所を決めておけばよかったと思いながら、めぐの方を見てみるとめぐも誰かに電話をかけているけど、結果は俺と同じなのかため息を付きながらスマホから耳を離す。
「めぐの方も駄目か?」
「うん、みんな電波混み合ってて全然繋がんない」
どうしたもんかなぁ……。いつの間にか花火も上がってるし……。
「ねぇねぇ、宮!人の少ないところ行ってみない?もしかしたら一人くらい繋がるかも!」
確かにこの先は神社で人が少ないから誰か一人でもその場所にいれば繋がるかもしれない。めぐもたまには冴えてること言うな。
「そうだな、近くに公園あるから行ってみるか」
「うん!」
俺とめぐははぐれないように、手を繋ぐ。繋ぐくらいなら思春期入りたての中学生なんかでもないから手を繋ぐだけで動揺はあまりしない。そもそもめぐの距離感が近いからな。少し歩くと公園に着く。人は全然いないけどここでも結構花火が見える。
「わぁ、綺麗……」
めぐが花火を見あげながら感嘆の声を上げる。確かに綺麗だな、花火。色とりどりの花火が眩しい。
「ねぇ宮、覚えてる?昔近場の花火大会にも行ったよね」
「覚えてる」
「初めてお揃い買ったのストラップだったよね」
あの頃はお揃いとかあんまり気にしてなかったんだよなぁ。意識し始めたのは小5の時くらいかな。同じの持ってたらからかわれると思ったから。
「今年はお揃い買えなかったね」
「ところでめぐ、なんでそんなお揃い好きなんだよ?」
中学生くらいの時からずっと不思議だと思ってた。
めぐはお祭りの時のお揃いにやたらこだわる。何がそんなにこだわることがあるのか分からない。
「思い出だからだよ、お揃い持ってると共通の思い出あるって感じで嬉しいの」
確かにそれを考えるなら、俺とお揃いにしたがるのも分からなくはない。だって俺とめぐはよく一緒にいるから。全く……。俺は2つのキーホルダーを渡す。
「これって……」
「自分で名前入れられるのあったから」
赤とオレンジのキーホルダー。赤の方には『めぐ』と書いて、オレンジの方は『宮』と書いた。凛斗みたいに俺の名前を書いた方をめぐに渡すとかはできないけど。俺はめぐに赤いキーホルダーを渡す。
「今年のお揃い、それでいいだろ?」
「……うん」
めぐは嬉しそうに微笑みながらキーホルダーを見る。
喜んでくれたならよかったと思う。
「好きだなぁ……」
めぐの言葉に驚き横を見ると、花火を見ていた。あぁなんだ、花火のことか。そりゃそうだよな、めぐにとっては俺はただの幼馴染だもんな。
「俺も好きかも……花火」
「それ4年前も言ってたよ?」
え?そんなこと俺言ってたっけ?全然記憶にないんだけど……?
「花火見ながら「好きかも」って」
あ~、あれか……それお前のことなんだけど。4年前の花火大会に俺はめぐが好きだと気づいた。あの時の浴衣も似合ってたし、寸胴だと浴衣似合うとは言ったけど、正直言うと可愛いと思うし普通に似合うとも思った。でもそんな素直に言えたら苦労しねぇんだよなぁ。素直に言えたらどんだけいいか。
「ねぇ宮」
「ん?何?」
改まってどうしたんだ?めぐはキーホルダーを空に掲げながら、花火と一緒にキーホルダーを見つめながら言う。
「まだ宮とお揃い続けたいから、もうしばらく彼女作んないでよね」
「何歳まで続けるつもりなんだよ」
冗談めかしてそう言う。そんなこと言うけど好きな奴ができたとか言ったらこいつ、スッと引いちまいそうだし。そもそも俺はめぐが好きなんだけどな。
「じゃあ30まで宮も私も独身で相手いなかったらもらってあげようか?」
「そういうの、俺の台詞じゃね?」
めぐとしては本気じゃないだろうけど、俺が言ってたならそれは本気だ。でも好きな奴にそんな簡単に告白はできない。花火が終わり、少し人が減り始めた頃、久遠に電話をかけるとようやく繋がると。
「へ!?お前今美紅ちゃんつった!?どこいる!?」
「え、もしかして付き合った!?そうなの!?ねぇ美紅近くにいるよね!?」
久遠が、初野のことを『美紅ちゃん』と呼び俺とめぐは珍しく2人して大騒ぎしていた。その後蓮や凛斗とも連絡が取れて、凛斗達がいるという神社近くに集合した。その後俺の話を聴いた蓮と凛斗も一緒になってことの詳細を久遠から聞き出した。まったく、そっちはやっとかよ。俺も……めぐへのアピール頑張った方がいいのかもしれないな。でも俺はその時にはまだ気づかなかった。めぐが俺の方に目線を向けて。
「よかった……ちゃんと花火の方だって思ってくれて……悟られなくてよかったぁ……」
「?え?めぐ、なんか言った?」
「な、なんにもないって!空耳しゃない?結愛」
その言葉を小さく、自分にしか聞こえないくらいの声量で、少し頬を染めつつそう言ってたこと。俺はまだ変わり始めためぐの気持ちには気づかなかった。俺達の気持ちが通じるまであとーーーーーー。




