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「着いた」
歩いて5分程度だろうか。それだけの距離なのに、少し汗ばんできた。
朝が少し肌寒かったから、少し厚着をしたのは間違いだったみたいだ。
季節の変わり目は着る服にも気を使う。
舞は木の影から指を指す。
その先にはオーボエを奏でる美兎がいた。
人気のないもはや公園と呼べるのかも怪しい場所で、聞き覚えのある楽曲を中々に上手に演奏している姿に鈴桜はドキッとした。
そんな鈴桜を横目に舞は、
「美兎って吹部の部長だったの。ウチはそんなに強くないから3年は直ぐに引退」
「へぇ、そうだった……って、ええ!?私も吹部に入るつもりだったんですけど、寮長居ないんですか」
「そうよー、残念ね」
舞が揶揄う様に話すと、鈴桜は拗ねたように喋る。
舞は美兎を使って、鈴桜との隔たりを少しだけ軽くした。
控えめながらも笑顔を見せた鈴桜に安堵を覚え、鈴桜の頭をクシャクシャに撫で回す。
「うぇえ!?止めて下さいよお!」




