20-1
あたいと空さまを始めとする一行は、千歯山の麓に着いた。
「ここじゃな。千歯山は」
山の麓に着いた空さまが上を見上げる。
それに釣られる様に、あたいも上を見上げた。
すると、そう遠い様な感じも無く、山の頂上を見る事が出来た。
千歯山の標高は、そう高くは無いようだ。
しかし、上を見るにつれ、急な斜面になり、大きな岩肌が見えている。
「うーん。崖だらけ。空さま。女は、どうしてこんな所にあたい達を呼んだんでしょうか?」
「多分、戦いやすい舞台だからじゃなかろうかね?」
「えーっ!?」
「『えーっ』じゃのうて。女がこんな場所に呼んだのは、その女自らが決着をつけるために用意した舞台
なんじゃろうよ?わらわ達は、それを打ち砕かねばならんのじゃ。方法はきっとあるはずじゃ。では、行くぞ」
そして皆で表参道を歩く。その道は、そんなに広くはなく、でこぼこがかなりあり、時折手をつかないと
登れない場所が多数あった。
でもそういう険しい所をあたいは、妖力をちょっと使って高く跳躍し、難なくこなす。
それは、空さまも一緒だ。
でも。
「おーい!空さんにキクちゃん。待つのだポン!ワシたちに跳躍の術は無いんだから」
「あい、分かった」
空さまがそう、返事をして待つ。
それから、また登り始める。そして、次の険しい場所に来た時だった。
「あちゃー。またかポン!どうやって登ろう?」
「何じゃ。手を貸そうか?」
「それは助かるポン」
空さまは、ポン太郎の手をとり、そして引っ張った。
「なんじゃ。重いな!ちゃんと力入れとんのか?ポン太郎」
「入れてるポン」
「しかし、どうにかして体重を減らせないものかねえ?妖術とかで」
「妖術で体重を減らす事は出来るポン!」
「何じゃ?出来るんかい!」
「でも。でもだポン。ここで妖術を使ったら、後で影響するかも知れないポン」
「それは、妖術の温存かい?」
「そうだポン」
「ふむ。やむ負えんな。頑張って普通に登るか」
「それがいいと思うポン」
空さまとポン太郎おぢさんの話を側で聞いていたあたいも、これから先は、着くまで妖術を温存する事にした。
そして、また歩いて登り、山の中腹に差し掛かった時、視界が開き、その場所は結構な広さの平地になっていた。
だが、その前方には、緩やかな斜面の岩場があり、前には進め無さそうだ。
そして、その岩場の麓に、女と複数の男性が待ち構えていたのだ。
「あんたたち。果たし状はしっかり見たみたいね。しかし遅い!待ち焦がれたわよ!」




