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「皆、集まったな」
空が中心となって、話を進めようとする。
「実はな。ここに居るキクが、修行をしたいと言ってきたのだ。皆、キクの為に力を貸してはくれまいか?」
「お願いします」
あたいは、お辞儀をする。すると乾坤が
「修行ねえ。別に手伝ってやってもいいか」
「わしも」
「わっちもね」
と、言ってくれた。続いてポン太郎おぢさん、ポン子さんも返事をしてくれた。
「よし。決まりじゃな。キク。修行の道は厳しいぞ。覚悟はよいか?」
「はい!」
・・・それから。約が一ヶ月が経った。
証乗寺の境内。そこには基本となる妖力が増し、それに伴い背丈が伸び、成長したキクの姿があった。
その姿を見ている空様。
「短い間で立派になったもんじゃな?」
「はい。皆さんのおかげです」
「それにしても、随分と年頃の女に成長したもんじゃな?」
「それは・・・妖力が高まって、小さい身体じゃ妖力を押さえ切れなくなったからですよ?あたいもこうなるとは思っても見ませんでしたが」
「でもその分、妖力も高まり頼もしくなったという事じゃ」
「ありがとうございます」
そして、建物の中に2人で戻ろうとしたその時だった。
「大変!大変だポン!」
大慌てで、駆け足で此方に向かってくるポン太郎おぢさん。
「どうしたのじゃ?そんなに慌てて?」
「空さん。見知らぬ女から、果たし状が来てるんだポン!」
「果たし状?相手はわらわ達にか?どれどれ?」
紙をポン太郎から手渡され、それを広げる空様。
「『妖怪たちへ。明日、仲間と千歯山に来い!決着をつけてやる』だ?なんでじゃ?心当たりないのじゃが」
「それがー」
「どうしたポン太郎?」
「空さんとキクちゃんが修行に励んでいる間、ワシとポン子とで、人間に悪戯をしていたポン」
「なっ、なんじゃとおーっ!」
空様が驚く。
「悪戯って、一体何をした?」
「空さんとキクちゃんが修行でいない間、ワシとポン子とで、人間相手にお化け屋敷をやったポン」
「お化け屋敷ねえ。何か、心当たりは?」
「ひとりかふたり、驚かせ過ぎて怪我をさせてしまった事があるポン」
「きっと、その事じゃな。怪我をさせてしまうとは何事か!」
「そう、怒らないで欲しいポン。ワシだって注意はしていたポンよ?」
「ひょっとして、その、村人が怪我をした瞬間をみていないか?」
「見たポン」
「見てたんかい!じゃったらその時の事を言うてみい?」
「えーと。追いかけている途中で、村人がこけて、外にあった石臼に頭をぶつけたポン」
「後は、わっちが不意をついてびっくりさせたら、近くの肥溜めに村人が落ちたわね」
「どっちもいかんじゃあないか。それでは恨まれるのも無理ない事じゃな。しかし、怪我をした村人に恨まれるんなら分かるが、何故に女から?」
「それは、分からないポン」
「・・・仕方ない。真相を知りたい事もあるし、行くしかないか」
「危ない橋は渡らないほうがいいポンよ?」
「そうも言ってられん。この手紙の主、紙に付いとる僅かな臭いがな、キクを迎えてから間もなく会った、怪しい女にそっくりなのじゃ」
「怪しい女?」
「前に鯛の岬で寺子屋を見た時にな?童を沢山面倒みてた女が居たんじゃ。見ていたら、わらわが気づかれてな?その時、只ならぬ殺気を感じたのだ」
「殺気!」
「そうじゃ。それなんで直ぐにその場を去ったがな。果たし状なんてのを送って来た以上、決着をつけるしかあるまいて?」
「空さま。行っては駄目ですよ!」
「心配するな、キク。わらわは、勝ち戦にしか興味がない。女が『妖怪たち』と言っている時点で、わらわ以外にも複数であることは分かるじゃろ?じゃから、こちらは複数で行かんとな?キク。お前にも、手伝ってもらうぞ?」
「はい」
あたいは、突然こんな事になるなんて思ってもみなかった。
「ポン太郎ににポン子。お主らも手伝ってくれるよな?」
「いいポン!」
「わっちも!」
「よし。それじゃ、明日に備えるか」
空さまの、明日に備えるという言葉には少し違和感があった。なのであたいは、その違和感を空さまに言う。
「あのう、空さま。乾坤さんは?」
「乾坤か?乾坤には、ある助っ人を呼びに行ってもらったよ?」
「それで、ここには居ないんだ」
「そういうことじゃ」
それからー。
明日の準備を整え、みんなで千歯山に向かうのでした。




