15
ポン太郎は、大きな幻の炎を焚き、強い光を放って、人をおびき寄せようとする。
そして、その光に吸い寄せられる様に何だなんだと言わんばかりに出てきた村人達。
いよいよ悪戯大作戦の始まりだ。
先ず、この悪戯の先頭を切ったのはポン太郎だった。
村人たちが、光の元を探し、辺りを見回していた。
その時、
「わはははははは!」
と、声をたてて笑いながら村人を驚かすポン太郎。
「おわあ!一つ目お化けだー!」
そう叫びながら、驚いて逃げ出す村人達。
「よーし。あたしも負けてらんないわ」
そういうと、今度はポン子が村人目掛けて、回転しながら飛び出して行った。
しかも、村人に当たる寸前の所で上手くかわしている。
「次は俺か。しゃーねえなあ」
今度は、少し面倒くさそうな感じで、乾坤がでて行く。
乾坤が化けた仁王像は、どすんどすんと音をたてながら歩き、時にはこん棒も振り落とすが、
村人に当たらない様に、明後日の方向に振り落とす。
「次はわらわの番か」
空様は、駆け足で村人に近づくと、一撃離脱の方法で、次から次へと、村人の顔に水を浴びせて驚かせて行った。
「いよいよあたいの番ね」
あたいは、一度、人間の顔に戻す。そして村人に近づき
「あたいかわいい?」
と、言ったその瞬間、獣の顔になって村人を驚かせた。
村人の驚く表情や仕草が、面白いったらありゃしない。
それからー。
みんなで村人を驚かす時間は直ぐに過ぎ去って行った。
「いやー!楽しかったポン!村人は楽しそうだったポン!」
「えー!?あれのどこが?」
「あちゃ?キクちゃん?知らないかポン?ワシは、村人に娯楽を与えているつもりだポン!」
「そーは見えないんですけど?」
「村人は、泣き笑いをしていたポン。それこそが、喜んでいる証拠だポン!」
ポン太郎は力を込めて言う。
「そんなあほな」
あたいは半信半疑だ。
でも、泣き笑いって。少し怖いのを我慢してでも楽しみたいって事なのかな?
村人の気持ちが分からない。
そして、神社までの帰り道。みんなで列をなして歩いていると
「式神がついてきとるな」
「うん。付いて着てるポン」
空様とポン太郎が唐突に話した。
「そこじゃっ!」
空様がいきなり飛びつき、何かを捕まえた。
「見張ってたのは、お主じゃな?」
見てみると、空様の手の中で何かがもがいている。
とにかく小さい。
その姿は、紙でできた一反木綿みたいだった。
「ふーん。こいつを使って誰かが監視をねぇ・・・。ふんっ!」
空様が力がを込めると、それは手の中で燃えて無くなってしまった。
あたいは空様に近寄り、質問する。
「今のは何です?式神とか何とか。それに監視って?」
「キクか。なんかなあ。最初から、わらわ達の事を良くない様に思って居るのが居るんよ」
「空様。何か気配を感じましたがやはりですか」
「おお?キクも感じておったのか。上出来じゃ」
「何で監視なんかするのでしょう?」
「さあ?別にわらわ達は、人間に大した危害も加えることなく、ただ共存したいだけなのになあ。
それを、単に良くなく思っている連中の依頼か、そいつの信念か、はたまた我が儘か。
理由は分からんが、兎に角目の敵にしておる。
わらわ達が気になってしょうがないんじゃろうて」
「その人間いったい何様だって言うのでしょうね」
あたいは、あの式神を操っていた人間に、興味を持った。




