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キク -幼少編ー  作者: 麻本
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14

 キクが、もののけとしての妖力を身に着ける修行をしてから約1月が経った。

「そろそろ、人間たちへの悪戯作戦に参加せよと言いたい所なんじゃが、キク。わらわが教えた技を、ここで披露してくれぬか?」

そう言って来た空様の期待に答える為、あたいは技の一つを見せる為に言霊を唱えた。

「ここにまします 水のめぐみよ 我の前にありて操られたもうことなり」

あたいはこう、言霊を唱えて水を出現させ、手の動きで輪っかに作ったり、水柱にして見せたりした。

そして次は浮遊術。

あたいの手の平位の物を宙に浮かせるのだ。

「ここにまします せきの魂よ 我の前にありて操られたもうことなり」

目の前の小さな石ころは中を浮き、ゆっくりとだが移動した。成功だ。

その様子を見た空様が

「へええ。ちゃんと出来る様になったねえ。えらいよ。キク」

そう言ってあたいの頭を撫でてくれた。

「これなら大丈夫じゃろう」

空様はそう言うと、あたいの手を握り何処かへ連れてってくれた。

そして、着いた所は目の前の海。

「空様。海になんか来て何をするんですか?」

「まあ、見ておれ」

空様が手を海にかざすと、海水に一部が盛り上がり、竜の頭の部分が現れる。空様はそれを自在に操ってみせた。

「うわあ!すごーい!」

あたいはその光景に感激して、思わず声が出てしまう。

「キク。お主もやってみせてごらん?」

「でっ!出来ません!あんな事!」

空様はなんて無茶を言うのだろう?

「何もわらわの様にやれとは言わないよ。でも、ほんの少しでもこの水を動かせたらな?

わらわは、キクの本当の力量を見たいんだよ」

「分かりました」

あたいは思わず返事しちゃったけど、実際にどの水をどれだけ持ち上げられるのか分からない。

でも、やるしかないのだ。

「うーん!!」

あたいはひたすらに一点を見つめ、水が浮かぶように念じた。でも駄目だ。

それを見かねた空様が横にきて

「キクや。一点の水に小さな円を描いて切り取る事を想像してみんしゃい」

そう教えてくれた。

「・・・小さな円を描いて、切り取る」

あたいは指先で、海面に小さな円を想像して描いてみた。

そしてそれを持ち上げる。

すると、海水が球状になって分かれて宙に浮く。

でもその球は、ものの数秒で飛沫した。

「ああっ!」

あたいは、もう少し長い時間その場に止めたかった。でも、出来なかった。

「キクや。お主の実力は分かった。短い間で良く習得したね。そこでじゃ。お主にも悪戯作戦に

参加してもらうことにするよ」

「やった!」

「しかしじゃ。注意せねばならん事は沢山ある。キクやどこに注意せねばいかんのか言うてみぃ?」

「はい。言霊を少しでも間違えると効果を現しません。悪戯で人間に大怪我をさせてはいけない。

もしも退魔師が現れたら、速やかに逃げる事です」

「ふむ。ちゃんと覚えているね。それじゃ、今日の夜、狸達に伝えるとするかね」

「なにか、楽しみです」

あたいは、心躍っていた。

そして、数日が経ち、悪戯決行の日。

この日、ポン太郎、ポン子、乾坤、空、キクの5人?が集まった。

そして、悪戯の指揮をとるのはポン太郎だ。

「それじゃあ、町へ出発だポン」

ぞろぞろと町へ向かうキク達。

しかし、町の中心部へ向かう途中で、あたいは奇妙な気配を感じ取っていた。

その気配は、前に居た所でみた人物と殆ど同じ気配。

それなのに空様はポン太郎と平然と何やら話をしている。

いったい何故なんだろう?

それからすぐ、あたいがこんな事で悩んでいる内に、目的地に着いた。

「それじゃあ、頃合いもいいし、直ぐに始めるポン!」

ポン太郎はそう言うと、すぐに一つ目小僧に化ける。

「じゃあ、ポン子も」

ポン子は傘お化けに。

「じゃあ、わらわはこれにするか」

空様は河童に化けた。

「俺は、これにしよう」

乾坤が化けたのは、仁王像だった。

あたいは、そのままだ。

「おや?キクは変化せんのか?」

空様が手を顎につけ、怪訝そうな顔であたいをみつめる。

「あたいにはまだ、変化の能力はありません。でも、妖弧として、人間の裏をかきますよ。幸い、獣の

顔にはなれますから」

あたいはそう言うと直ぐに狐本来の顔ををしてみせた。

「獣人ね。それなら人も驚くか」

空様は顎に手を当てて何やら考え込んでいる。しかし、空様が考え込んでいる最中に、

ポン太郎が割って入ってきた。

「空さん。何をしているポン?考えるよりも先ずは行動だポン」

ポン太郎は、空様の肩を叩いた。

「ああ。すまぬ」

「それじゃあ、作戦開始だポン」

かくして、悪戯大作戦の火蓋は切られたのでした。


ー続く


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