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キク -幼少編ー  作者: 麻本
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「おお。よく来てくだすった。実はそこに、人みたいに服を纏い、2本立ちした狸たちがですなぁ・・・」

「狸?複数いるのは分かるんじゃが、決して2本足では立ってねえし、服を纏ってもおらんよ?」

「何?2本足で立っておらんと?」

その瞬間、狸たちが一斉に立ち上がり服を着たのです。

「そうじゃ。立っておら・・・んん?」

住職と話をしていた村人が、その光景をみて目を真ん丸くして驚いた。

「みんな集まったんだポン!さあ、皆で楽しく踊るポン!」

ある一匹の狸がそう言うと、集まった村人達の体が勝手に動き始めました。

「何じゃこりゃ!体が勝手にー」

村人たち意識に関係なく、半ば強制的に手足が動き、踊りを始めたのです。

その、村人達の踊るのをみた住職は

「狸に化かされよったか」

と、呟きます。それを聞いた村人は

「なに言うとりますか。住職の体も動いておるでよ?」

住職の直ぐ側にいた村人が言いました。

「だからその、何だ。私も釣られて踊っているのが実は悲しいのです」

「悲しい?どうして?」

「私は厳しい仏道修行を積んだ身ゆえ、普通なら冷静に見極め、こんな狸たちの術など跳ね返せる

と思っとりました。しかしこの様に手足が動いている。これはもう、狸の術中にはまったとしか

言い様のなく・・・」

「分かったから。長話はその辺でええ。この踊りはいつ終わるんじゃろうな」

「聞いてみますか?」

「頼むで」

村人にそう言われ、住職は踊りながら、狸に話しかけます。

「そこの狸よ」

「何だポン?」

「私達をいつまで踊らせる気なのだ?」

「ずーっとだポン!」

「ずーっとは、どの位だ」

「疲れ果てるまでだポン!」

「何ー!」

狸の術中にまんまとはまり、朝方までずうっと踊らされた村人と住職達でありました。

そして、やがて日が昇りました。

朝日が海面から少し顔を出すと、糸が切れたかの様に踊りが止まりました。

踊らされた村人達は、汗を掻き、へとへとになっていました。

「ぜえ、ぜえ。やっと終わったかー」

みんな地面に倒れ、寝転がるようにして休みました。

すると其処に、変身が解けて普通の姿になった狸達が、少し離れた場所

から、数匹でぴょんぴょんと跳ねながら村人の様子を伺っている様でした。

それを見た村人の一人が、力を振り絞って立ち上がり、狸を殴ろうとしましたが当たりません。

狸を殴ろうとした村人は、バランスを崩して地面にこけました。

「うぬぬ。おちょくりおってからにー!」

そして、狸達は何処かへ去って行きました。

 その日の夜。

「いやー。あの和尚、傑作だったポン!」

「そーねー。最後は息を切らしながら恨んでたけどね」

化け狸の雄と雌が、腹を抱えながらまた、お寺に現れたのです。

「化け狸か。ちょいと話をしてみるかね?」

そう言って、空は直ぐに化け狸の前に立ちました。

「おわっ!何者だポン」

突然、空が目の前に現れ、驚く化け狸。

「わらわは空と申すもの。ちょいと聞きたいことがあるので現れたのだが」

「聞きたい事?何をだポン?」

「このお寺は、お主が憑いておるのか?」


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