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キク -幼少編ー  作者: 麻本
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「そんなに嬉しいか。良かったねぇ」

「はい嬉しいです。これで、いつかまた、ここを通った時に、空さまと思い出話が出来るでしょうから」

「そうか。それもよいな!」

「そうでしょう!」

キクは嬉しそうに笑いました。

「それじゃ、この場を離れようか。次はどんな事があるかのう?」

そう言ってまた、歩き始めました。

 そして、自分たちの気の向くまま。人や獣が作ったあぜ道をただただ辿り、歩き続けました。

そうして、次にたどり着いた所はまたお寺でした。

でもそのお寺は深い竹やぶの中にあり、日照りが無く決して明るい雰囲気はありません。

「うん?このお寺は誰も憑いておらんのか?でも寂れて無いからそんな事はないかな?」

空は寺の周りを歩いて調べました。

「ほう、ほう。人間の和尚がいるが、もののけは憑いておらぬか。

ここの和尚が普段からきれいにしてるんじゃな。でもかすかに匂いはある。そーか。何処かへ出かけているだけか」

「空さま。分かるんですか?」

首をかしげるキク。

「まあな。そうじゃキク。ふたりでこの社の屋根に上って待ち伏せせんか?どんな奴が来るのか、気にはならんか?」

「どんな奴って」

「興味はないか?」

「あります、あります」

「そうか。ならば決まりじゃな。待ち伏せするとしよう」

そうして空とキクは、屋根に伏せて身を潜めるようにして様子を伺います。

それから、かなりの時間が過ぎて。

とっぷりと夜の暮れた時でした。

すると間もなく和尚が外に出てきました。その和尚はやせっぽちで、ちょっと頼りなそうな出で立ちでした。

そこへ、とある二つの影が現れました。

狸が二匹。いや、ぞくぞくと現れます。

「今日も現れおったな!化け狸たち。今日は何で勝負するつもりじゃ!」

「勝負?そんなのしないポン!ワシ達は、この広い場所で宴をしたいだけだポン!」

「何と申すか!ここよりも広い場所は幾らでもあるじゃろう!」

「ここじゃなきゃ意味ないポン!人間を集められるのに丁度良い場所なんだポン!」

「丁度よいじゃと?それに人を集めてどうする!?」

「ワシはただ、人間にも楽しい思いをしてほしいだけだポン!」

「なんだと!人をおちょくりおって。嘘をつくな!集まった人を操り、怪我などの危害を加える気であろう?」

「ありゃ?ばれてるんだポン」

「図星か!ならば容赦せぬぞ!」

「ちょっと待つポン!操りはするけど怪我なんかさせないポン」

「本当にか?」

「ただ、楽しく踊ってもらうのの、何がいけないんだポン?」

「うぐぅ!お前ら、本当に楽しく踊ってみせるんじゃな?」

「じゃあ、今から人を集めてやる。しばし待たれよ?」

そう言うと和尚は、お寺の鐘を突き始めました。

すると、そんなに時間の経たない内にひとが集まり始めました。

「何じゃ和尚さん。こんな時に鐘を鳴らしたりして?」

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