『THE ACE 2~Eternal Sky~』出演者インタビュー(2/2)
――さて、ここからは映画内容についてインタビューさせていただきます。まず、徳川家康が最後の戦いに臨み、大阪方が受けて立ちます。
武藤:
「ここは、少なくとも家康はまだ理解できるんですよ。家康にとって最後の敵は、やっぱり豊臣ですから。どんな手を使っても倒したいというのはわかります。史実でもそれに近いことやってますし」
皇木:
「僕もそうです。でも、その後の大野治房でもう駄目でした。これ誰?って感じで(笑)。結果的に家康の捏造も、秀吉爆死も事実になっちゃってるし」
武藤:
「俺は池田さんが治房役で出てきた時に『あ、この人絶対兄貴を殺るな』って思った(笑)」
ガーゴイル:
「私は池田氏の魔法陣を評価したい。この速さと美しさはなかなかだな」
武藤:
「池田さん、前作から続いて描き慣れてますから。でも、そこを評価されるとは思ってなかったでしょうね(笑)」
――そして大坂の陣が始まります。魔界軍勢の豊臣軍と、戦国末期オールスターズの徳川軍の戦いですね。
皇木:
「実は卑弥呼役、うちの事務所の子役の女の子なんです。『安斎ひなた』ちゃんっていう」
ガーゴイル:
「現場でずっと皇木氏と一緒にいた子だな。本人曰く『皇木氏の大ファン』とのことだった」
皇木:
「照れくさいけど嬉しいですね。でも本人が言うには、卑弥呼はどういう人物か知らなかったそうで、お母さんに聞いたそうです。そしたら返事が『なんで卑弥呼が戦国時代にいるの?』と」
武藤:
「それは確かに(笑)。ちなみに卑弥呼ビームで焼かれてる『飯野義正』って、オリジナル武将らしいよ。監督が『名のある戦国武将がビームで焼かれるのはいかがなものか』って考えたとか」
皇木:
「いい配慮ですが…前作は黒田長政がメガロドンに喰われたり、小早川秀秋がUFOで宇宙に連れていかれてましたよね。それは気にならなかったんでしょうかね」
武藤:
「たぶん、その時はあんまり気にしてなかったんだと思う。そういえば、前作の小早川秀秋を演じてたのも飯野(※)くんだよね」
(※:新人俳優・飯野淳。前作小早川秀秋に引き続き、今作ではオリジナル武将飯野義正を演じた)
皇木:
「…飯野義正って名前、飯野さんから取ったんですかね?」
ガーゴイル:
「たぶんそうだろうな」
――――――――――
――さて前半最大の山場、細川忠興がゾンビ集団と戦います。
武藤:
「ここは気合い入れましたね。己の重火器を信じている部分、弾が尽きた絶望、それでもせめて最後まで前を向いて戦う悲壮感、妻へのひねくれた愛のようなもの……いろいろ考えました」
皇木:
「武藤さん、この場面に臨むとき、ずっと一人で精神統一してたらしいですね」
――そこで、『せいぜい奇跡を見せてみろ!』の場面ですね。
ガーゴイル:
「あの言葉は、完全に神に対して喧嘩を売っている印象だな」
武藤:
「あの時点の忠興はもう死を覚悟してますから。『妻を俺から奪いやがって。やれるもんならやってみろ、偉そうなこと言うなら俺さえも救ってみろ』という感情ですね」
――結果、天の光はゾンビを消滅させますが、デュラハンが残り…そして、本作前半の名場面が訪れます。
武藤:
「妻への別れの言葉ですね。もう会うことはできないがお前はそっちで幸せになれ、でも願わくば俺の名を語り続けてくれ、と」
ガーゴイル:
「ちなみに撮影後、デュラハンも武藤氏を褒めていた。『演劇とはいえ、あの男はなかなか見所がある』と。プライドの高いあいつが人間を褒めるのは珍しい」
武藤:
「はは。それは、本当に光栄ですね」
皇木:
「…あ、すいません。僕から一つ。その場面の……千利休の『最終決戦用奥義 命』ってのは、なんなんでしょうか?あと、秀吉に逆らって爆死って…なぜ?」
ガーゴイル:
「『命』とは、利休が最後に細川忠興に遺した茶杓だな。そこから発想を膨らませたのだろうが…」
武藤:
「……結局のところ、監督しか知らないんじゃないかな」
――――――――――
――後半、武蔵坊弁慶と真田信繁が邂逅し、弁慶が信繁の中に源義経を見て裏切りますね。
皇木:
「『判官贔屓』つながりですね。源義経も真田幸村も『敗北した英雄』だから、場面としては二人に相通じるものがあるというのはわかります。ただ、弁慶役の方を初めて見た時は腰を抜かしましたが(笑)」
武藤:
「本当に7メートルあるんだもんね。あれはさすがに、前作で慣れてる俺も池田さんも驚いたよ」
ガーゴイル:
「弁慶を演じたのは、私の知り合いの大巨人だな。『魔界でも名高い武蔵坊弁慶を演じられて大変光栄』と言っていた」
皇木:
「礼儀正しい方なんですよね。僕も何度かお話いたしましたが、その背丈に合わない、腰の低い謙虚な方で」
武藤:
「ただ、あのシーンを横で観てたけど、皇木君はしっかり演じていて。『怖くないのかな』とか『さすが皇木翔』と思った」
皇木:
「そこはなんとか。スタッフの皆さんが安全配慮はしっかりしてくれてましたし、あんまり怖がると大巨人さんにも、真田信繁公にも悪いですから」
ガーゴイル:
「しかし、あれほどの戦力を擁した源義経が敗北するとは、兄の源頼朝の戦力もかなりのものだったようだな」
皇木:
「え?魔界では、武蔵坊弁慶は7メートル1トン超えの巨人と伝わっているんですか?」
ガーゴイル:
「うむ。ん?違うのか?実はもっと大きいと?」
皇木:
「……そこは、我々も見たことはないのでなんとも」
武藤:
「……さすが武蔵坊弁慶」
――――――――――
――その他、皆さんの心に残った部分はどこでしょうか?
皇木:
「僕はやはり、信長と家康の対峙、そして家康の最後ですね。裏で『本能寺の変』の糸を引いていたのが家康、その家康も秀忠の策略で死んでいく、というところが」
武藤:
「『本能寺の変は、家康が起こした』というのは、『家康黒幕説』としてあるよね。実際は眉唾だけど、この歴史の家康ならやりかねない」
皇木:
「まさに、家康役の真田さんもそう考えて監督に提案したらしいんですよ。『この家康、本能寺もやってますよ多分これ』って。それを監督が採用したそうです」
ガーゴイル:
「ほう、そうだったのか。だがこの血気に逸った家康なら、確かにやりかねんな」
皇木:
「その結果、ちょっと面白い流れになりましたよね。家康は、幼少の頃は兄と慕った信長を下剋上で倒した。でもその次は自分の息子に下剋上で倒されるっていう」
ガーゴイル:
「因果応報ということか。しかし、末期に嬉しそうに散っていくのもまた狂気であるな」
皇木:
「統治者として、後を継ぐ息子の成長が嬉しかったんでしょうね、きっと。この家康、前作から引き続いてずっと狂気ですから」
――ガーゴイルさんは、お気に入りの場面はありますか?
ガーゴイル:
「やはりラストシーンだな。ここでタイトルの意味を回収した、と受け取った。過去から未来への継承と、その中でも良くも悪くも変わらないものがある……というのがこの映画のテーマなのだな、と。あの監督がそこまで考えていたかはわからんが」
皇木:
「僕も『なんかいいラストシーンだな』と思ってしまいました。その前は魔法陣描いたりビームやヘビーマシンガン撃ったり、いろいろやってるのに(笑)」
武藤:
「冷静に考えたら、『戦国時代でガーゴイルに乗って空を飛ぶ卑弥呼』っていうのもなかなかわからない(笑)」
ガーゴイル:
「まあ、終わり良ければすべて良しということだな」
――武藤さんは、どのシーンがお気に入りですか?
武藤:
「僕は…やっぱり『ETERNAL 魔界鮫』対『不知火慎太郎』大激闘シーンですかね(笑)。前作に引き続き監督の存在がデウス・エクス・マキナっていう。あれを見て安心しました。『あっ、やっぱり不知火映画だな』って(笑)」
皇木:
「宇宙空間に飛び上がって鮫と監督が戦うって、文字だけでも『何言ってるんだ?』ですよね。鮫映画ならありえそうな気もしますが。いや、この映画は鮫映画だったのかっていう疑問もありますが」
ガーゴイル:
「ビッグバン前の宇宙…『旧宇宙』というのも意味が分からん。少なくとも私は聞いたことがないな」
武藤:
「その辺も含めて『不知火映画』なんですよね、きっと(笑)」
――――――――――
――最後に、この映画を観ようとしている皆さんに一言お願いします。
武藤:
「前作よりも色々な意味でパワーアップしています。『ここまでやるのか』と僕たち自身も思っておりますので、ぜひ映画館へ皇木翔くんと魔界の住人を観に来てください(笑)」
皇木:
「大変新鮮な現場だったと感じております。その結果、おそらく他に類を見ない映画となったのではないでしょうか。無理にとは言いませんが、『超解釈・大坂の陣』をご覧いただければ。ラストシーンの空は純粋に美しかったと思います」
ガーゴイル:
「魔界の住人といえば人間には異形。恐れを抱くのも当然だが、決して悪い者ばかりではない。だが、嘆かわしくも人間を堕落させる愚か者がいることも事実だ。奴らは君たちの心の弱さに乗じ、利用しようとする。甘い誘いには決して乗らず、強い信念と毅然とした態度をもって、人生を強く生きてもらいたい」
――ありがとうございました。
――いかがだったであろうか。
当時は新人であった武藤奏一氏、現在でも大活躍中の皇木翔氏、さらにはその姿にもかかわらず非常に理性的で『あれは本当に本物だったのか』と今でも言われているガーゴイル氏のインタビューを回顧させていただいた。
なお先日、別の取材で武藤氏に会った際にこの話をしたところ『皇木くん、次はハリウッドで主演らしいですよ。僕も呼ばれてまして』と笑顔で応えていた。
不知火映画出演を黒歴史にしている役者も多い中、武藤氏は当時の思い出を楽しそうに語っていた。
まあ内容については『今回も不知火100%ですね』と言っていたが。
さて、次回はこの『THE ACE 2 ~Eternal Sky~』の家庭用円盤について、当時の記録を回顧させていただこう。(ライター・山田山田夫)




