第95話 ダメ男
「さあさあ、次の子いくわよ! レオンちゃん!」
「ええ!? ぼ、僕ですか……」
B班の人たちの中で、一歩後ろに下がった場所の気弱そうな少年が、ヒカルさんの指名にあまり乗り気じゃない態度で返事を返した。
「あ、あの…… ヤタレオン と言います。以上です」
終わってしまった。
「ちょっと、レオンちゃんったら!」
「まあまあ、こいつはシャイなんで! 次、自分いいっすかね」
ヤタレオン君の紹介は名前だけで終わってしまった。
そのまま隣の男が次の自己紹介をする様だ。自分から進んでいくとは……。結構ガツガツ行くタイプなのかな?
「自分の名は キラコウキ そこにいるキラヨシツグの弟です」
「!!!」
僕達3人は飛び出た目玉が戻らなかった。
「キ、キラさん弟さんいらっしゃったんですか?!」
「あれ、言ってませんでしたっけ?」
「初耳よ! しかも能力者だったなんて!」
「いや~ザブって言うんでしたっけ? 最近になって能力者になったんで。ホント助かりましたよ、自分借金あったんで! 今回リセットされたじゃないですか! 多分ですけど……。んで、今回運よくこの対策課に入れたんでラッキーすよ。やっぱり持つべきものは人脈っすね。今回も兄さんのおかげで何とかなりそうっス。優しい兄を持って嬉しいですよ」
「いや、死んでもいい奴探していたら丁度お前がいたから……」
「いやいやいや、兄さん怖いこと言わないで……」
キラさんの目は冗談を言っている様には見えなかった。彼の雰囲気と自己紹介で何となくわかった。
ダメ男だ……
典型的なダメ男、無駄にポジティブなのがその証だ。
「コ、コウキ君は何で借金作っちゃったの?」
ここでミナさんが切り出してきた。僕達が知りたい情報を!
「まあ、ギャンブルです」
ドン! という、どこかで聞いたことのある効果音が聞こえたような気がした。勿論、胸を張って言うセリフではない。ここにいる女性陣はドン引きしている。男性陣は苦笑いしている。
「まあ、わかったでしょう。このカイジにいそうなギャンブル依存症の男が私の弟です」
「依存はしていない!」
「んなわけあるか! 借金作っている段階でアウトだわ。ほら、特技……じゃないや自分の能力皆さんに教えなさい……」
「ジョジョ第五部でギャングたちがスタンド能力は、極力教えないようにしていたけど……」
「ここイタリアじゃないから、ここ日本だから、そもそもギャングじゃないから」
「でもな~これ教えちゃうのな~」
「いいから能力だしなさい! どうせバレるんだから。というか自分の能力の詳細について対策課には提出済みだろ」
ニヤケながら能力を出し惜しみするコウキに対して、徐々に苛立つキラさんは見ていて新鮮だった。それから5分ぐらいこのようなやり取りをしたした後、やれやれとしながら弟は能力をお披露目した。
「これが自分の能力っす」
彼は1枚のトランプカードを出した。するとそのカードはたちまち黒い砂になり、跡形もなく消え去ってしまった。
「どうですか、これが自分の能力ですよ。凄くないですか!? まあ、砂に変えた物は時間が経ったら元のモノに戻るんですけどね! つまり、完璧なイカサマが出来るんですよ! もうこれで借金も大丈夫、ねぇ兄さん!」
「皆様、このろくでもない弟をよろしくお願いいたします」
キラさんはこの場にいる皆に深く頭を下げた。
なんか、キラ家の闇の部分が垣間見えた気がした。




