第91話 新たな環境へ
太陽が丁度真ん中に差し掛かったころ、戦闘係の電話が鳴った。
キラさんが手に取り、電話の内容を聞いている。僕達戦闘係の電話は全部内線だ。お相手は研究チームか、世界樹から生み出された化け物ゼノ、もしくは最近増えてきている能力者ザブに対する仕事の件のどちらかだ。
「かしこまりました」
ガチャリッと電話を切ったキラさんが、難しい顔を作りった後、机に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持ってきて、どこかで見たことがあるポーズをとった。
「三人共聞いてほしい……」
キラさんが低い声で僕達三人の手を止めた。
何か重大なことがあるのか!?
ミナさんとハイノメも同じことを考えているだろう。二人も作業を中断して真剣な表情をキラさんに向けている……。
「内線コールさ、もっとこうカッコよくできないかな~。昭和、平成初期の白電話じゃねぇ……。今、令和なんですよ。せめてスマホとかにした方がいいと思うんだけど、皆はどう思います?」
「すみませんどうでもいいんで早く本題に入ってください!」
ハイノメが僕とミナさんの分まで思っていることをぶつけてくれた。
「はいはい、すみませんでした。まず、戦闘係の人員が増えます! パチパチ~、増えるといってもこの部署ではなくて、もう一つ部署を作るそうなんだ。僕たちがA組、新しいのがB組になる。学校みたい、もっと人員が増えたら世界樹担当チームと、能力者担当チームに分けていく方針なんだけど今のところは我慢してね!」
「とうとう、この人手不足の闇の環境に光が差し込んだのですね!」
「そうなのです。ユズキ君、やっと光が見えたんですよ!」
「で、で! どんな人達なんですか?!」
涙目を浮かべ、互いに同じ心境に浸っているキラさんとミナさんの事にお構いなく、ハイノメは、新しく入ってくる新人について興味津々だ。
「まあまあ、落ち着きなさいよハイノメ君。これからその戦闘係Bと、会ってみようって話だよ。向こうは対策課入ったばかりでわからない事だらけだろうし。私たちが先輩として色々と教えていきましょう」
「先輩か~」
ミナさんが目を輝かせて上を向いている……
「私は一足先にあなた達教育係として先輩だったから」
「ん、せんぱい?」
「ちょっと! 先輩! 私、あなた達2人の先輩!!」
「勿論、わかってるよ。ハイノメにはいっぱい世話になっているからね。ありがとう!」
「そ、そう思っているなら……たまには、け、敬語を使いなさいよ……」
ハイノメは顔を赤らめながら、恥ずかしそうに何か小声でボソッと呟いた。
「とにかく、明日は新しく入ってくる人たちとの交流だ。まあ、事件とか起きたら中止になるけど……。なのでそのつもりで! あ、また電話だ。……わかりました直ぐに向かいます。トガ君、ユズキ君、東京の江戸川区付近で世界樹の根が現れたようだ。既に対策課の職員が到着しているんだが、どうやら急成長しているらしい。ゼノ出現の危険性があるので大至急向かってほしい。詳しい説明と案内はカラスマ君から道中聞いてくれ」
「了解!」
僕とミナさんは返事をした後、戦闘係の部屋を飛び出し、カラスマ君と合流して現場に向かった。
「なあ、ハイノメ君……トガ君って、その身体に変化がある能力者見たことある?」
「どうしたんですか? 私とミナ、そしてショウの3人で仕事していた時に他にあったことはないと思いますけど……。」
「そ、そうか……」
「あと、私の前で異業種って言っても大丈夫ですよ」
「……そ、そう。まあ、今日朝気まずい空気だったじゃないですか。私がその言葉言ったんですよ。そしたら急に怒ってきたもんだから」
「ショウが?……話が長くてしつこかったんじゃ?」
「そ、そうだったのかな~。だといいんだけど……」




