第88話 電話コール
静岡での仕事から二日が経った。僕達、世界樹対策課日本支部戦闘係の日常は特に変わらない。ハイノメもミナさんも翌日から仕事に明け暮れている。昨日もゼノの目撃情報があったので、僕とミナさんとハイノメの三人で向かった。僕達三人が静岡に行っている間は、キラさんがほぼ一人で対応していたらしい……。
「トガ君、この静岡のお茶美味しいよ……」
「あ、ありがとうございます。」
今日はミナさんとハイノメが調査に向かっているため、この部署には僕とキラさんの男2人だけだ。
「なあ、トガ君……人手不足だと思わないかい?」
キラさんと何気ない会話をしながら仕事を進めていく。
なんか前にもこんなことがあったような気が……
「そもそも、何で僕たちが事務仕事みたいなこともやっているの? 研究チームに人員割き過ぎじゃない?」
静岡から帰ってきてからずっとこの調子だ。まあ、ワンオペみたいなことをしていたのだから無理もない、ここは冷静に怒りを鎮めないと……
「いや~まあ、毎日ゼノとか出現するわけじゃないですし……」
「いや、まあそうなんだけど、でも事務作業とかするよりもさ! 訓練とか、筋トレとか、もっとこうねぇ」
「まあまあ、自衛隊の皆さんも捜索活動とか、炊き出しとか、復興とかでお忙しいのですから……、今は辛抱する時期なんですよ!」
「そっか~、そうだよね漫画とかアニメみたいに有事に備え、日々鍛錬しているわけじゃないんだよね~。いやさぁ、ちょっと憧れてて……」
それから愚痴とアニメの話が二時間ぐらい続いた。
「そうそう、話変わるけど静岡に行ったとき、さわやかってハンバーグレストラン行った?」
「行ってません」
少し小腹が空いてきた時間帯、椅子に座った状態でグッと背伸びをした。その状態で、小休憩をとっていると電話が鳴った。
「どこからだろう? げ、研究チームからだ……」
僕はイヤイヤその電話をとった。電話の内容は今すぐに来てほしいとのことだ。
内容を教えてくれ!
「なんかあったの?」
「いや、なんか研究室に至急来てくれと……」
「ちなみに私も?」
「いえ、ぼく一人でした。キラさんは呼ばれていません」
そう言った瞬間、キラさんは満面の笑みを浮かべた。
「そっか~、じゃあ行くしかないな!」
「……何の実験でしょうか」
「まあ、少なくとも切り刻まれることはもうないと思うよ。たぶん……」
全然説得力がない……
僕は重くなってしまった足を持ち上げながら、研究所へと向かった。




