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世界の意思にさようなら  作者: ラゲク
第8章 異形の肉体
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第86話 ぐるぐる巻き

 「ちょっと! ツバキちゃん大丈夫?!」

ドアベルを鳴らさずに、ドンドンとノックをした彼女は、私の容態を心配してきた。トガさんに彼女を呼んで頂いた後、思っていたよりも早く彼女はここに来てくださった。彼女は日本支部能力者研究の第一人者だ。忙しいはずなのに……。

 

「あ、空いています……」

「そ、そう……お邪魔するわね」


彼女はそう言った後、私の部屋へと恐る恐る入ってきた。そして私の顔を見た瞬間、言葉を失ったのかその場で数秒時が止まった。


ザブと呼ばれる感染症?によって私は能力者になってしまったんだと思う。じゃないとこんな異形のモノが顔に現れるはずがない……。私もこの状態をどう伝えたらいいのかわからず、ただ呆然と座っていることしかできなかった。


「なにこれ! 綺麗~どういうこと? ツバキちゃん能力者になったの!?」


相変わらずだった。そうこの人は変態なんだった。

でも、少し救われたような気がした。

向こうから話を振ってくれなければどうしようか、何より今の私を嫌な目で見てくることはなさそうだ。


 というより綺麗って……


「ふふっ……」

「あら、笑った。そうそうあなたは可愛いんだから、もっと笑顔でいなさい!」

「こ、こんな状態なのにですか……」

「そうそう、こんな状況だからこそ! 最近ユミ達と一緒にいることが多くなって、笑顔が増えたと思ったのに……、ごめんなさいね、あなたを危険な仕事に就かせちゃって、あなたは彼女たちといる方が楽しそうだと思って……」

アオバさんが徐々に元気を失っていくのがわかる。静岡での件、このマッドサイエンティストにも思うことがあるようだ。


 この人がこんな顔をするなんて……


アオバさんが優しい人なのは、一緒に働いている私が一番よく知っている。研究とか能力者のことになると、理性が飛ぶから誤解されがちだけど……


「そ、そんなに落ち込まないでください。仕事なので仕方ありません。それにここ世界樹対策課に来た時から危険と怪我の覚悟はできています。もちろん死んでしまうかもしれない事も。まさか、自分自身が能力者になってしまうとは思わなかったですが……」

私はアオバさんに気持ちを伝えた。

「そ、そう……。そっか! じゃあ、研究所に行きましょう! でも流石にその顔は目立つわね。なにか布か何かで隠せないかしら?」

いきなり吹っ切れて、私を研究所に連れて行こうとする彼女は、部屋に会ったタオルで左目を中心にぐるぐると頭に巻いて、左目の花を隠した。

「よし、これでひとまず大丈夫でしょう! できる限り、人目に付かないよう気を付けながら、研究所に向かうわよ!」


 これで大丈夫なのでしょうか……

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