第85話 ツバキの花
目を覚ますと見慣れた天井がある。つい先日まで違った天井だったが、今日からまたこの天井と毎日付き合うことになる。でも、なんだろう? 左目が少し疼くというか、違和感を感じる……。
まだ体が癒えていないのかな?
先日、上司のアオバさんに身体の検査を受けたときには、特に異常なしと言われたのだけど、残念そうな顔をしながら……。
まあ、もう少し経過しないとわからないって言ってたし
私はベットから立ち上がり、浄水器からでた水をやかんにかけ、コーヒーを作った。私の朝のモーニングルーティンだ。アオバさんから、特に食事に関して考えなくてもいいよと、言われたからいつも通り私はコーヒーを作る。最近良いコーヒー豆を手に入れたので、私は毎朝この瞬間が楽しみ! 静岡では良いお茶っぱを手に入れたので、今夜はそちらを飲む予定!
あ、そういえば静岡といえばさわやかに行くのを忘れていました!
まあ、また今度の機会にしましょう……
い、一応仕事ですし……
というか災害後やっているのでしょうか?
最近ちょっとたるんでいるような気がする。でも、これでいいと思う。少し前の私は、ピリピリしていて近寄りがたい雰囲気を出していたから、ハイノメさん達のおかげで、仕事が少し楽しくなってきたから……。
まあ、本来は研究科の部署所属なので、会う機会は時々なんですけど
コーヒーを飲み終えた後、私は洗面所に向かい、顔を洗うために水道の蛇口を捻った。
「いやあああああああああああ!!」
目の前の鏡を見た瞬間、私は朝の優雅なひと時から一気に絶望のどん底へと落ちていった。先ほどの左目の痒みの原因が分かった。私は恐る恐る、左目の出来物にゆっくりと手を伸ばし触れてみた。
花だ……
バラの様な、何とも言えないが奇妙な花が私の右目から咲いている。よく見ると花の真ん中にあるめしべの場所に、目玉の様なものが見える……。まつげが目を守るように、花弁が奥にある目を守っているように感じた。
や、やばい! どどど、どうしよう?
ピンポーン!
誰かが私の部屋のチャイムを鳴らしてきた。
「カンダさーん! どうしたんですか?」
声の主はトガさんだった。そういえば、馬鹿みたいに大声を出していたんだった。隣にまで届いていたのか!
「な、何でもないですよ~」
咄嗟に嘘を付いてしまった。大事件なのに……
「……そうですか分かりました。お体に気を付けて無理をなさらず」
トガさんはそう言って離れていったようだ。
でも、どうしよう……
どうにか左目を隠す?
いや、結局はばれてしまうし……そもそも隠す必要ある?
私は玄関先で座り込んでしまった。
ピンポーン
また誰かが鳴らしてきた。
「あの、誰か呼びましょうか? アオバさん、ハイノメ……、もし余計だったらすみません」
彼は心配で戻ってきた様だった。
私は少し微笑んだ後、彼に上司のアオバさんを呼んできてもらう事にした。




