第80話 二対一
「普通の人間なら圧死しているはずなんだけど……」
ほぼ無傷で現れたミナさんを見て、流石のキャットウォークも同様を御隠し切れなかった様だ。
「ミナ! まだいける?」
「全然大丈夫ですよ~」
これで2対1、ハイノメとあの男がほぼ互角、そこに今のミナさんが加われば!
僕は完全に勝利を確信した。ハイノメに救出したツルギちゃんを、この戦場から遠ざけるため、一度この子を安全な所まで運ぶことを伝えた。
「直ぐに戻ってくるから!」
「そんな心配しなくても大丈夫よ、帰ってきた頃には害獣駆除は終わっていると思うよ」
ハイノメは強気に僕にそう言い残した。
ツルギちゃんを抱えて部屋を後にした僕はカンダさんと合流した。彼女は女将さんの応急処置をし始めていた所だった。
「カンダさん! この子もここにお願いします!」
「トガさん! 娘さんも救出出来たのですね! 怪我の方は大丈夫そうですか?」
「怪我とかはなさそうだけど……かなり弱っている。僕はハイノメ達の所に戻ります。まだ、ねずみ男が残っているので」
「わかりました。お気をつけて……」
僕は彼女にツルギちゃんを預けた後、急いで先程の戦場へと戻った。
戦場に戻るとハイノメ達は優勢だった。相手は防戦一方で、かなりあっせている様子。
「クソッ、おい! おっさん起きろ、このままじゃやられっちまう!」
「うう、私は一体……」
僕が吹っ飛ばした男が目覚めてしまった様だ。男は大量のネズミたちに運ばれて、キャットウォークの近くまで来ていた。何か策でもあるのか、それとも……
「ちょっと、まさか逃げる気!」
いち早く気が付いたのはハイノメだった。
「このまま戦ってもジリ貧だしね! さあ、移動しますよ。ゲンドウさん、ここは引きましょう……」
「わ、分かりました。ちょっと待っててください」
ゲンドウはそう言うと、何か緑色のガス? いや、靄の様なモノを生み出した。
まさか、それで逃げるのか? あの男の能力って!
「じゃあ、さようなら。綺麗なお姉さん方、また会いましょう……」
やっぱり、ゲンドウの能力はワープ、移動能力か……
キャットウォークがいい能力と言うわけだ。
こんな便利な能力者、手放す訳にはいかないもんな。
「ぎゃあああああ」
いきなり悲鳴が響き渡った。
その声の発生源はキャットだった。何故かはわからないが、緑の靄からゼノが現れて、キャットの肩に嚙みついたからだ。
「おい、一体どこに繋いだんだよ!」
「す、すいません。本部に繫がったはずなんですけど……、部屋間違えたのかもしれません……」
どうやらゲンドウは、能力を上手く扱えないらしく、目的の場所からズレてしまったらしい。しかも、運悪くゼノのいた場所……、化け物たちはこちらの部屋に入ってきた。
「ちょっと、この量おかしいでしょ!」
「アハハ! おもちゃが一杯来たわ!♡」
形や姿は様々、犬の様な奴もいればサルの様な姿をした奴もいる。
「まさか、今回の静岡のゼノの死骸事件アンタたちのせいね! 何が目的なの?」
ハイノメはキャットウォークに質問を投げた。しかし、返答は帰ってこなかった。肩を食いちぎられて、それどころではないからだ。




