第78話 技名
「ギヤアアアアア~」
カンダさんの悲鳴が部屋中に轟いた……
次から次へと、天井に現れた魔法陣からネズミが雨の様に降り注いでくる。
「皆さん気をつけてください! どんな病気を持っているか分かりません!」
「失礼な! そんなに拒否らなくてもいいのに……。この子達は、そこら辺のドブネズミと違って清潔だよ。口に入っても大丈夫だよ。ハハッ!」
キャットウォークは業とらしく、某有名キャラの笑い方をして、僕たちを挑発してきた。
「やだ、肩に乗ってきた!」
ミナさんが肩にいたネズミを振り払った。あまりに強く払ったせいで、壁に叩きつけられた後、動かなくなっている。
「一体何がしたいのこれ? ただの嫌がらせ?」
ハイノメがキャットウォークに問いかける。
「勿論、それだけじゃないよ! ほら、みんなこっちに来な!」
キャットウォークは生みだしたネズミたちを自分の近くに集め出した。ネズミたちは二か所に集まって、一瞬で大きな山を作り出した。成人男性程あろうネズミの山は、次第に人の手の様な形を作り出した。
「灰積掌」
ドラクエに出てくるマドハンドみたいな大きな手は握りこぶしをして僕たちに襲い掛かってきた。
「重鉄拳」
「こっちに来るぞ! カンダさんは女将さんを安全な場所に!」
「わ、わかりました!」
カンダさんは急いで、倒れている女将さんを担いでこの場を離れようとした。しかし、彼女たちの近くにもネズミの山が出来始めていた! 目の前の攻撃に気を取られている間に、部屋はネズミだらけになっていたのだ。
「ものの数分でこんなにも増えるなるなんて!」
「ドラえもんのバイバインかよ! ミナさん! 大丈夫ですか!?」
「アハハハハハ♡」
道徳教育を受けていない子供の様にネズミを踏みつぶしている……
しかし、彼女にとってこの能力の相性は最悪らしい。次第に彼女は大量のネズミたちに囲まれて動けなくなっていった。
「ミナさん!」
僕は何も考えずに彼女を助けようと向かっていった。前からくる攻撃に気が付けないほどに……
「ショウ! 灰色の壁」
ハイノメが背中から火を出し、生み出した灰で大きな壁を作り出し、敵の攻撃を防いだ。
「しっかりしなさい! ミナなら大丈夫、頑丈だから! こんなちっこい奴にやられたりはしない。それより私たちが優先すべきは、ツルギちゃんと女将さん、一般人を守ること。そして、目の前のくそったれを取っ捕まえること!」
ハイノメは僕に厳しく注意してくれた。
そうだ……ミナさんのことも心配だが
今自分たちがしなきゃいけない事……
「悪いハイノメ!」
「いいわよ! さあ、ツバキ! 女将さんを連れて早くここから逃げて! 暴れて!入道雲」
そう言った後、彼女は背中から生み出した煙を人の腕の形へと、変化させていった。その大きさはキャットウォークの作り出した、ネズミたちの手よりも一回り大きかった。その大きな腕を使い、ネズミの山を退けてカンダさん達が逃げ切れるように、退路を作った。
「えーと、灰せつ……なんだっけ? いいネーミングセンスね!」
「そちらこそ、低学歴っぽくて素敵です」
こいつら……痛いぞ!




