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世界の意思にさようなら  作者: ラゲク
第七章 開拓地の狂犬
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第69話 嘔吐娘

 怒りは一瞬で静まった。

ミナさんとあんなことや、こんなことをできるチャンスを潰されて、ムカムカしながら扉を開けたら、女将さんと問題児の娘が立っていた。難しい顔をしていたので、彼女たちがここに来た理由はすぐに分かった。


 女将さんは僕の顔色を見ながら頭を下げた。後ろに隠れている娘も少し前に進み、僕の顔を見た。するとしばらくして彼女は蒼くなり、足元に嘔吐物をまき散らした……。


 ど、どうしたんだ……


僕は理解が追いつかなかった。急に部屋を訪れたと思ったら、今度は盛大に部屋の前で吐かれるとは……


 そ、そんなにトラウマになっているのか? 

 ちょっと口喧嘩しただけだったと思うんだが……


あまりの急な出来事で脳がフリーズしてしまった。女将さんは血相を変えて娘の様子を心配した。かなり慌てている……母親として当たり前のことなのだが、あの立派な女将さんの姿は何処にもなかった。


「だ、大丈夫ですか?」

脳が再起動した僕は彼女たちに声をかけた。

「も、申し訳ありません 申し訳ありません」

女将さんは涙を浮かべながら、必死に土下座しながら謝ってきた。


「ショ、ショウ君どうしたの? これってどういうこと?」

ミナさんも心配になってこちらに来た。

「いや、もう……」


 こっちが聞きたいよ……

 もう何が何だか……


「え、えーと、ツルギさん……だっけ大丈夫?」

ぼくは彼女に優しく手を差し伸べる様に声をかけた。

「い、いや……おぇ」

「……」

「申し訳ありません 今はそっとさせてあげてください」

「……」


 もしかして、生理的に拒否られてる?


「ショウ君はとりあえず奥に隠れていて」

「う、うん」

ミナさんが険しい顔で僕に指示を仰いだ。僕はただ彼女の指示に従うしかなかった。


「女将さん手伝います。取り急ぎこの子をこの場所から出しましょう!」

「あ、ありがとうございます」

「この子を運び出した後、消毒液などお借りしますね」

ミナさんはそう言って、二人と一緒に遠くの方へ消えていった……


「もう、何が何だかわかんないよ!」

誰もいない部屋で、大声で溜まっていた不満をぶちまけていた。


 これ、僕が悪いのか?




 しばらくするとミナさんが帰ってきた。彼女は僕に消毒液とゴム手袋、モップやらタオルやらを渡し、『あとは出来るよね!』と、この吐しゃ物の掃除を命じた。彼女はその後、嘔吐娘の様子が気になると戻って行ってしまった。


 ……何しに来たんだろ僕は


「ちょっとショウ! 何かあったの? うわ!クサッ」

騒ぎを聴きつけたハイノメとカンダさんがやってきた。二人に事の事情を説明すると、二人共心配になったのか嘔吐娘の方へと向かっていった。


「一人くらい残ってくれてもいいのに……」


 これ、ぼくがわるいのか?


 

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