第65話 ノゾキアナ
「さあ! 三人とも、食事も終えましたし。明日の任務内容の件について話合いましょう。」
食事を終えた僕たちは、お腹も膨れて完全に動けなくなっていた。そんな状況を打破するべく、カンダさんは僕たちに気合いを入れてきた。
そういえば、仕事しに来てたんだった……
つい仕事のことを忘れるぐらい、ここで過ごす時間はとても新鮮なものだった。
「え~ 明日にしない?」
ハイノメはカンダさんに駄々を捏ね始めた。確かにもう今日は、仕事のことはやりたくないし、聞きたくもなかった。
いつも朝から晩まで仕事をして、しかもその内容が命の危険がある内容……、給料は勿論、自分たちが寝泊まりしている社宅も凄くいいが、毎日張りつめた日常だ。
あのハイノメでさえ、最近弱音を吐いてしまったほどに……
「僕も明日に賛成」
「な、トガさんまで!」
カンダさんはかなり驚いたようだ。彼女の中では、どっちかというと僕は真面目な方だと思っているのだろう。でも、今必要なのは
「仕事の内容は明日、少しだけ早く起きて話し合いませんか? 今日聞くよりも頭に残りやすそうですし……それに皆、りょこ……じゃなかった。長旅で疲れてると思いますし」
ハイノメが僕に向かってガッツポーズした。
「まあ、わかりました。ユズキさんも今日は仕事したくない気分らしいので」
カンダさんは早い段階で折れた。彼女自身もたぶん今日は仕事したくないのだろう。
「よーし、じゃあお風呂でも入りに行くとしますか!」
先程までダラダラしていたハイノメは子供の様に元気よく立ち上がり、女子2人に声をかけた。二人も合意したようで、このあと浴場にいくようだ。
「トガさん……」
「? どうかしましたか」
カンダさんが少し顔を赤らめて僕に言ってきた。
「あの、ここにずっといると…… その、バックから下着が取り出せないので」
「あ、ご、ごめんなさい」
僕は謝った後、すぐにこの場から立ち去った。
一人で歩く廊下は心なしか夜の暗闇と相まって、冷たく感じた。女子部屋から脱出した僕は、自分の部屋へ戻っている最中だ。
ていうかなんで男は僕だけなんだ?
こういうのって男女半々じゃないのか普通……
寂しいんだが……
「こんな時キラさんがいてくれたら、女風呂覗きにいくぞ!って、言ってくれそうなんだけど……。 ああ、だから来れなかったのか? いや、だとしてもカラスマ君もいるんだし。」
ブツブツと文句を言いながら廊下を歩いていると、いつの間にか自分の部屋の前に着いていた。中に入ってもやることは無かったので、ぼくも風呂に入る準備をして、浴場に向かった。
浴場の中はよくある旅館の浴場そのものだった。少し古臭さを感じたが、特に気にはならなかったし、むしろその古臭さが味を出していた。カラカラと、浴室のドアを開け中に入った。中は少し小さく感じたが、僕一人だけだったので、何も問題はなかった。むしろ丁度良かったかもしれない
「アハハ!」
壁の向こうからハイノメの笑い声が聞こえた。
あっちは随分と盛り上がっている様だ。まったく何やってるんだか。
ちょっと気になる……
仕方がない、男の子なんだから
気が付いた時には壁に寄りかかっていた。
「それにしても、アンタら二人共、いいカラダしてるじゃない」
「ちょっとユミさん! おじさんみたいです!」
「ツバキちゃんも~脱いだら凄いのね」
「せ、セクハラで訴えますよ」
「ユミさんもスレンダーで、しかもおっぱいも大きくてモデルさんみたいですよ」
「お、ミナもいうねぇ~ お姉さん嬉しくなちゃたわ」
「な、なんかアオバさんみたいになってますよ。ハイノメさん」
僕は死に物狂いで壁に穴が開いていないか探した。




