第59話 属性もりもり
「では、お次に殿方のお部屋をご案内致します」
あ、部屋別なんだ
少し淡い願いを期待していたのだが、見事に打ち砕かれてしまった。
「おい、何期待してたのよ!」
ハイノメが眼を細くしながらツッコんできた。
「トガさん、私たちは社会人ですよ」
カンダさんは冷たい目線で……
「お、男の子だから仕方ありませんよね」
ミナさんは優しくフォローしてくれたが、かえってその言葉が辛い……
女性陣の部屋を離れ、廊下を女将さんと一緒に歩く。僕の部屋は少し離れた場所にあるようだ。
「あの……」
「はい、なんでしょうか?」
「ツルギさん? でしたっけ? あの子はどういう……」
「ああ、あの子は私の娘です。あまり人付き合いが苦手なもので、ここで私と一緒に働いているのですが……ちょっとこの業界は厳しいかな~と考えている最中です」
「なるほど」
本当にこの人の娘さんなんだ……
「ほほほ、私も自慢ではありませんが若いころはやんちゃをしていまして」
「は、はあ……」
かなり若い年齢で産んだんだな 人は見かけによらないな
「ここの旅館は貴方と娘さん、あと旦那さんで切り盛りしているのですか? 他に従業員の方はいるのですか?」
僕は気になったことを質問してみた。僕らの他に宿泊客がいないのは知っているが、さっきから全く人の気配がしない……。女将さんは、少し間を置いた後、僕の問いに答えた。
「主人はいません。他の従業員は今は休業中です。何分暇なものですので……」
顔には出していなかったが、少し悔しそうな感情が籠っていたように感じた。悪いことをしてしまった。
「さあ、ここがトガ様のお部屋になっております」
女性陣の部屋と比べると少し小さめの部屋だが、きれいな和室の部屋で素晴らしい。もちろん広縁もある。一人で堪能するには十分過ぎる部屋だ。
「ここもいい部屋ですね」
早速奥に進み、広縁の椅子にもたれかかる。
「いかがでしょうか」
女将さんがニッコリと微笑んで僕に椅子の座り具合を聞いてきた。
座り心地はいいのはもちろん、空間がプラスアルファで更に上げてくる
「最高です……」
「ありがとうございます。真っ先にそちらに行かれる方は滅多にいませんので」
「す、少し子供っぽいですかね」
僕は顔を赤らめて聞いてみた。
「いえ、そんなことはございません。 ただ……」
「ただ?」
女将さんは座っている僕の顔に近づき
「少し可愛いと思いました……」
ふふふ と、いたずらした少女の雰囲気を醸し出し、彼女は部屋の説明をしてこの部屋を後にした。
エッッッロ!
「あ、危ない危ない危ない」
危ないところだった。人妻に発情するところだった。僕は下心を必死に抑えた。
「でも、あんなに綺麗な人妻なかなかいないよ。しかも、旅館の女将さん……、もしかしたら未亡人かも知れない、属性もりもり過ぎるよ……。エロ動画でしか見たことなかったから……」
数分後、高ぶっていた気持ちは和らいでいった。
最低だ僕って……。




