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世界の意思にさようなら  作者: ラゲク
第七章 開拓地の狂犬
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第58話 カメヤミサト

 「こちらがお部屋となっております」

ドアを開けると、そこには広々とした空間が広がっていた。

いや、実際はそこまで広くないのだが、無駄なものがないから広く感じてしまう。まだ引越したばかりで、家具がそろってない状態みたいな感じだ。とても新鮮に感じる。なにより……


「これこれ! このスペースだよ! 旅館と言ったらこれ!」

僕は靴を脱ぎ、急ぎ足でその場所へと向かった。

「ショウ君 はしゃいでる」

「い、意外だわ」

急なキャラ変に驚いているミナさんとハイノメのことなど気にせず、ぼくはその空間に足を入れた。


 ああ……はやく襖を閉めて一人でこの空間を堪能したい……


「ど、どうしたんでしょうか?」

カンダさんも驚いたようすで……いや、引いた様子でハイノメに聞いていた。

「さあ? なにかそそられるものがあるのかも」


僕がその場所でワクワクしていると、ミナさんが近づいて声をかけてきた。

「ショウ君、この場所が気に入ったのですか?」

「うん、昔からこのスペースが好きなんだ。あ、広縁って言うんだけど。その名の通り、幅が広い縁側なんだ! 広縁を設けることで、和室内に広がりのある空間が作り出せるほか、日射から畳やふすまを守るという実用的な効果もあるとか……あ」


 つい早口でしゃべりすぎてしまった。

 ひかれてしまったかも……


「アハハ、ショウ君って夢中になると早口になるんですね」

「まあ、ははは……ついね」


 なんとかセーフだったようだ……


 「お気になさって何よりでございます」

女将さんが部屋の入り口付近で、正座をした状態で感謝の言葉を述べた。

続けて自己紹介も始めた。

「わたくし、この旅館を取り締まっている カメヤミサト と申します。本日は当旅館に宿泊して下さりありがとうございます。このご時世ですから、ご要望にお応えできかねることも多々あるかもしれませんが、できる範囲のことはお応えしますので」


女将さんがそう言った瞬間、ハイノメが食い気味に突っ込んできた。


「え、今何でもやるって言ったよね」

「いえ、言っていません。絶対にやましいこと考えましたよね」

「いやいや、そんなことないわよ! 私、女だし」

「そうなのですか! てっきりレズかと」

カンダさんはニヤニヤしながら、ハイノメをおちょくっている。

「ちょっと、なんでよ!」

「支部内で結構噂になっていますよ」

「そ、そんな~どうして」


「ほほほ、……申し訳ありません。ついお客様同士の仲睦まじい姿が愛らしく」

ここまで厳格な感じだった女将さんが、少し砕けたように笑った。

「てっきり、もっと怖いお方が来られるものと思っておりました故……、まさか可愛らしいお嬢様と、優しそうな殿方がお見えになるとは思っても見なかったもので」


顔が真っ赤になっていき、ハイノメとカンダさんは急に落ち着いてきた。


 小学生かおまえらは……

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