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世界の意思にさようなら  作者: ラゲク
第11章 Welcome トゥ 混沌 
117/145

第117話 殺意と芋けんぴ

 部屋の奥の間仕切りビニールカーテンの中で、彼女は掛布団に身を包んだ状態で待っていた。

「遅かったじゃない」

意外だった。父親は樹神教の良いように使われていて、母親も連れ去られてしまった彼女は、もっと自暴自棄になっているんじゃないかと思っていたからだ。あの事件から時間が経ったとは言え、まだ心の傷が癒えておらず、拒否反応されるとおもっていたから。

「もう、大丈夫なの?」

「体は平気、お母さんが連れて行かれちゃったのはショックだけど……」

彼女の顔を見るに平気そうではない、まだ結構無理をしている顔だ。

「でも、ここでずっと籠っているのはイヤ! 私はお母さんを助ける。そしてあの男を殺す。」

あの男、おそらく実の父親のカメヤゲンドウの事だろう。彼女の瞳の奥は冗談を言っている様には見えなかった。


 本気だ……


「だから、アンタたちの仲間になるわ!」

彼女は僕に熱く想いを伝えた。しかし、彼女は無能力者、仲間になるとしても、カラスマ君みたいに僕達戦闘係のサポート係とかだろう。たぶん彼女は納得はしないだろう。現場に出向いて、時期が来れば母親を助ける目的と同時に、父親も殺すつもりだから……


「わ、わかったよ……一応、上司に言っておくよ」

「お願いね、あと、勢い余ってアイツ殺すとか言ってたけど忘れて!」


 無理がある


「あのな、いくら何でも殺すのは……」

僕がその後のセリフを言おうとした瞬間、彼女の獰猛な目つきでかき消されてしまった。


「あと、能力者になる方法教えて」

「知らん!」

「は?」

「いや、なんで能力者になれたのかわからないんだよ。まあ、この能力がなかったら今の自分はいないからなぁ」

「そ、そんな……」

「まあ、今後解明されていくんじゃないか?」

「それじゃあ遅いのよ! 私は今からでもお母さんを助けないといけないのに!」


彼女の大声に、危ないと判断したのかフタバさんが入ってきた。

というか復活していたのか!


「お、落ち着きましょう。ね、ツルギちゃん」

「うるさい、ホウキ女!」

「ほ、ほうき? ト、トガさん今日の所はここまででいいでしょうか? 彼女まだ混乱していて、私の事ホウキですって何を言ってるの!」

「だまれ、芋けんぴまだ頭に刺さってるぞ!」




 「ああ、疲れた……」

治療部署を後にした僕は、トボトボと1人で戦闘係の部署へと戻っている最中だ。カンダさんの様子も見に行こうと思ったが、流石に結構な時間が過ぎ去ってしまったので、仕事が終わってから見舞いに行こうと思う。自分の家の隣だし



 「戻りました」

「おかえりなさい、どうでした?」

帰るとミナさんが心配そうに聞いてきた。

「カンダさんにはまだ会ってなけど、ユイちゃんは元気だったよ、もうバッチリ! ツルギちゃんは闇落ちしています。」

「なんだってー! それは大変じゃないか」

急に大声を出すキラさん

「はい、大変でした。もう、色々と……」

「そうだったのですね、お疲れ様です。今温かいお茶作ってきますね。キラさんはおかわり如何ですか?」

「お、じゃあまた一杯貰おうかな」

僕が留守の間、何事もなく平和に過ごせていた様だ。


 たまにはこういう日もないといけないよな……


 あ、ハイノメ……


彼女は犠牲になったのだ。仕方のない犠牲なのだ。



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