第115話 オフの日
「おはようございます。」
「おはよう2人共! ラブラブじゃない♡」
「ユ、ユミさんからかわないでください!」
戦闘係Aに入ると、ハイノメとキラさんは既に出社していた。
「おはようこれで全員揃ったね。昨日支部長がラジオ媒体を通して、世界樹対策課の事、ゼノの事、能力者ザブの事を世間に伝えました。今、自衛隊と区画長の方々の協力の元、我々世界樹対策課の詳しい説明もされているはずです。今後、変な野次を飛ばされることがあると思いますが、強い精神を持って耐えて下さい。」
「根性論ですか……」
「すまないね、こればかりはしょうがない……。何か新しいことが出来ると、不満を持つ者は必ず現れるものさ。」
キラさんは少し寂しそうに言った。
「で、私たちは今日は何を?」
ハイノメがそんな事どうでもいいからと、話を強制的に切り上げて進めた。
「特になし!」
「え?」
思わず三人共声が出てしまった。
「ははは、久しぶりじゃない? 何かしら書類やら、現場へ行ったりと忙しかったから、こういう何もない日があることが! といってもB班が代わりに行ってもらているだけなんだけどね。書類作業も最近人手が増えてきたから、その人たちに強力してもらっている。」
「そ、そうなのですね」
「うん、何か事件があったら直ぐに現場に向かってもらうと思うからそのつもりで! だから、今日はオフみたいな感じで気を楽にしていいよ~」
「本当ですか♡ ではお言葉に甘えて!」
ミナさんは嬉しそうに机に向かって溶ける様に、学生が授業中に寝る態勢でリラックスモードに入った。
「そっか~、じゃあ私も……」
「あ、ハイノメ君はアオバさんに研究所に来るようにと……」
「ああああ」
ハイノメが発狂しだした。
「キラさん、僕は少しこの場所を離れてもいいですか?」
「うん、いいけど何処へ行くんだい?」
「ユイちゃんと、カンダさんの様子を見に……、あと相手してもらえるかわかりませんが、カメヤツルギさんの様子も一応……」
「わかった、じゃあ悪いけどハイノメ君を連れてってくれない? 彼女動けなさそうだから。」
ハイノメの方を見てみると、彼女は絶望した表情で確かに動かなそうだった。
「か、かしこまりました。」
「アオバさーん、ハイノメ連れてきました。」
「あら♡ もしかしてトガ君も協力してくれるの?」
「いえ、違います。」
僕は全力で拒否した。
「僕はユイちゃんに会いに来ました。あの子は元気そうですか?」
「あの子はイクエのとこにいるわ」
「イクエ?」
「ええ、最近出来た治療部署よ! ゼノの被害者、特に心に傷を負った人の面倒を見る部署なの。ユイちゃんはそこでイクエのアシスタントとして頑張っているわ!」
「あ、働いているんですか……」
子供を働かせていいものなのか?
「まあ、私のところに居てもあまり手伝えることないし、あんまり人の血とか見せるのもダメでしょ……」
「当たり前です!」
イクエさん? の所に行ったのは正解だ。この女の所にいたら悪影響だ。
「カンダさんはこちらに?」
「ツバキは自宅よ、彼女の事も心配してくれてありがとう。あの子も喜ぶわ」
「ありがとうございます。じゃあ、ハイノメはここに置いておきますね!」
「いやあ、置いてかないで!」
駄々御捏ねるハイノメを、アオバはルンルン気分で奥の研究室へ連れて行った。
その後の事は考えたくはない……
研究所を後にした僕は、ユイちゃんが今いるらしい治療部署に向かった。
「ここが治療部署か……」
ここに来たのは初めてだ。ここに入院しているツルギちゃんとは、あの事件の後、一度もまだ顔を合わせていない……。精神ともにボロボロの彼女の前に、男性の僕が行くのは果たしていいのか悪いのか……。
「あの~すみませーん」
僕はまだモヤモヤした気持ちを抱えながら、扉を開けた。




