第114話 真っ新に生まれ変わって
「カラツガルの日本応援ラジオ~。さて、始まりました。カラツガルの日本応援ラジオ! この番組は私、カラツガルが災害後の日本を元気づけるために、あんなことやこんなことを語り、災害前の日本を取り戻そうという番組です。」
自分の社宅に帰った頃にはもう夜遅くになっていた。僕はいつもの様に、カラツガルのラジオを聴きながら、就寝する準備を始めていた。
「今回はですね。ちょっと真面目な回でして、皆さんご存知の方もおられるかもしれません。世界樹対策課日本支部の方に来ていただきました。代表のオオモリトウヤさんです!」
ブフォ!
思わず寝る前に飲んでいた飲み物を拭きこぼしてしまった。
「支部長いったい何やっているんですか!」
僕は1人しかいない部屋で、ラジオに向かって大声でツッコみを入れてしまった。
支部長がわざわざ出演されたということは、恐らく世間にゼノの事と、能力者の存在を公表する気なんだろう……。今日、近いうちに公表することになるだろうとか言っていたのに、まさか当日に決定するとは思わなかった。いや、流石にすでに決まっていたのだろう。じゃないとここまで迅速な対応できないはずだ。
「では、ゼノという怪物が……」
「はい、我々はその危険生物の対処を行っています。」
内容は僕が想像した通り、ゼノの事と能力者ザブの事だった。
「しかし、恐ろしい世界になりましたね……。漫画の様な話でまだにわかには信じられないですが……」
「無理もありません、もし見かけても絶対に近づかない事! 直ぐに逃げること! そのことを徹底してください。世界樹の木の傍にも近づかないでください。」
「そうですね、自分の身は自分で守らないとですね……。」
「あ、あと最後に一つ……」
支部長は半ば強引に割ってでも何かを伝えたいらしい……
「お近くに能力者の方が現れてもどうか非難しないでください。その方も被害者なのです。例えどんな姿になってしまっても……。」
少し元気のない口調だが、このラジオを聴いている視聴者に思いを伝えられたようだ。
「ありがとうございました。では最後に……」
「ああ、ちょっとまって!」
まだ何か伝えたいことがあるようだ。
「世界樹対策課日本支部、新入社員募集中です。能力者の方大歓迎です。元気のある方、正義感のある方、一緒に家族、友達、大切な方を守りませんか? 面接希望の方は……」
支部長……、あんな話した後に求人の説明は悪手だと思いますよ……
「あ、ありがとうございました。では、皆さん時間もあれなので今日はここでお別れです。本日の曲は支部長のオオモリトウヤさんのリクエスト曲でKingGnuの白日です。」
意外! 演歌とか聴いていると思っていたから!
翌朝、世界樹対策課日本支部は昨日のラジオの件で話題沸騰だった。廊下の何処を歩いていても支部長とKingGnuの事しか聞こえなかった。
「おはようございます。ショウ君!」
「あ、おはようございます。ミナさん!」
「昨日のラジオ聴きました?」
どうやらミナさんも聴いていたらしい
「勿論、まさか前半シリアスな重たい空気だったのに、いきなり声のトーン変えて求人の事言い始めたり、選曲のセンスが予想外だったりで、ある意味面白かったよ」
「ね! 支部長もKingGnu聴いたりするんですね」
「いや、あれは別の人のセンスだと僕は思っている!」
「え~、じゃあ支部長のおすすめの曲なんだと思います?」
「う~ん、石川さゆりさんの津軽海峡だな!」
「わかる! でも、それなら石川さゆりさんの曲でもいいと思いますが」
まさかここまでいじられているとは、支部長も思ってもいないだろう。




