第111話 決心
静かな闇夜を私たち対策課が矢のように突き進む。事態は一刻を争う。
「エマ、場所はもうすぐなのよね!」
「は、はい! もうすぐです」
私たちはショウと一緒にいたエマの案内の元、現場に向かっていた。現場に向かったのは、私ハイノメと、ミナ、そしてエマの三人だ。エイジは戦闘員ではないので、避難したトオガタさんと一緒に留守番を任せている。
「しっかし、ショウも大胆なこと考えるわね。まさか、トオガタさんをおとりに犯人をあぶり出すとは……、トオガタさんもよくOKだしたものよ……。ミナ! まだ寝ぼけてない? もうすぐ戦闘開始よ!」
私はさっきまで爆睡していたミナを心配した。けどそれは考え過ぎだった。後ろでお酒を飲みながら、グッとガッツポーズと自信満々の顔を作り、私にいつでも準備万端ですよと伝えてくれた。
「エマは無理しなくて大丈夫だからね!」
「いえ、ワタクシも対策課の一員として、くノ一として皆さんを全力でサポートします」
「そう! ありがとう」
私たちは全員覚悟を決め現場へと向かう……。
「着きました……」
エマの案内で目的の場所まで辿り着いた。辺りは静寂に包まれており、そこに1人、人影が見えた……。
ショウだ!
無事だった。 良かった……
まあ、不死身の身体を持っているこいつの心配は必要なかったか……
私はホッと肩の荷を下ろし、ショウの傍まで近づいた。
「おーいショウ大丈夫だった? ほらほら喜びなさい! 美女三人組がアンタの事迎えに来てあげたのよ♡」
「ちょっと、ユミさん恥ずかしいです!」
「アハハ、ミナもそこにいないでこっち来な!」
私たち三人はショウの傍に集まった。ショウの目の前には犯人……、いや、今回の事件の原因のゼノの死骸が倒れていた。頭と両腕が無くなっている。何も知らない人が見たら、人の死体と見分けがつかないと思う。ホントに人間そっくりだった。
「しっかし、このタイプのゼノは初めてだったからびっくりしたわ」
「ユミさんも見たことないんですね……」
「日本どころか世界初なんじゃない? 今後ますます気を付けないと……」
「そうですね、まさか人の中に紛れて一緒に暮らしているなんて思わないですもん」
「まあ、このことは絶対口外禁止でしょうね。……ショウどうしたの?」
「ん? ああ、いやなんでもない」
何処か明後日の方向を向いている彼は少し元気がなかった。
そのことに気付いたのは私だけではない
「ショウ君、何か心配事ですか?」
「まあ、このゼノ……、ミドリカワの子供のレモンちゃんの事を思うと、僕のやった事ってもしかしたら、レモンちゃんにとって悪い事したんじゃないかって……。」
ショウの頭の中は今、何が正しいのか葛藤している様だ。
「何言っているのですか! ショウ君は殺人犯を倒したんですよ! このゼノを野放しにしていたら、次の犠牲者が現れていたんですよ!」
「そうでーす。トガ先輩は正義を執行したまでデース!」
「……ショウ、2人の言う通りあなたは何にも悪くないわ」
ショウは少し顔を上げて有難うとお礼を言った。そのまま、少し疲れたからと石の上に腰を下ろした。彼の肉体は疲れ知らず、負傷した傷も無くなり、元気いっぱいのハズなのだが、心が疲れているのだろう。ショウはまた明後日の方向を向いた。そして何かを考え始めた。
「ショウ君行きましょう」
ミナがショウの元に行き声をかける。
「うん、ありがと」
「気持ちの整理できたようですね!」
ショウはどうやら少し元気になったようだ。
私たちはエイジの指示の元、ゼノの回収を終えた。
「しっかし、人間に擬態しているゼノが現れるとは……、サイトウさんがまた暴れ出しそう……。はあ~~~ しかし、ほとんど人間に変化した部分ばっかですね。もしかしたら、怒られるかも……。はあ~~~」
エイジは帰った時の事を想像してため息を吐いている。
「ため息ついても仕方ないでしょ! ほら、さっさと帰るわよ」
「といっても……、ハイノメさん一緒についてきてくれますか?」
「そ、それは……できない」
「そ、そんなーー」
「そんじゃ皆! 今日の所は帰って寝て、明日の朝に対策課に戻るわよ!」
「なあ、ハイノメ……少しいいか?」
「ん? 何?」
ショウが少し話したいと言ってきたので、他の皆は先に帰らせて、私たち2人は少し残った。その後、彼の口から思いもよらない考えを聞かされた……




