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世界の意思にさようなら  作者: ラゲク
第10章 父と子
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第105話 探偵はここにいる

 太陽は雲によって完全に隠れている。

事件現場には野次馬で埋め尽くされていた。みんなやることもなく暇だから多くの人が集まっていた。事件の被害者がジンエイさんということもあるのだろう……


 「おはようございます。トオガタさん……」

「ああ、対策課の皆さん……」

僕達はすでに現場に駆け付けていた自衛官のトオガタさんと合流して、事件の詳しい内容を聞いた。

「あの、息子さんは……」

「彼はあちらで……お母さまと一緒にいます」

遠くのベンチで泣き顔を手で隠した妻と、その息子であるマコトさんがそこにいた。2人ともひどく落ち込んでいる様だった。

「あ、あの声をかけた方がいいのですかね……」

「もう少ししてからにしましょう……。まだ混乱していると思うし……」

ミナさんの想いに対してハイノメが優しい口調で返した。


「トオガタさん私たちも現場に入ってもいいですか?」

僕は怒りと悲しみの混ざった気持ち、そして事件を解決させる意思の籠った台詞を放った。

「勿論、協力してこれ以上被害が出ないようにしましょう」

トオガタさんにその想いは伝わったようだ。彼はすぐに僕たちを現場の中へ入らせてくれた。



 遺体の状態から見て、事件が起こったのは太陽が昇る前、朝と言うにはまだ早い時間帯、午前3時から5時の間に起こったらしい……。ジンエイさんは朝早くに起きて、見回り活動をし始めるのでその時に襲われて殺されたのだろう。遺体は酷い有様だった。喉を食い破られており、腹は引き裂かれて内臓が飛び出している。新米のエマとヤタ君はとっくにその場を離れてリタイアしてしまうほどに……。彼らはミナさんの介護を受けることとなった。


「惨いことを……」

「首元をやられて抵抗できずに死んでしまったのね……、でもこれでわかったわ。この事件はゼノの犯行じゃない! だってこんな芸当できないもの……、それに前回も現場付近に痕跡がなかったことから犯人はこの避難区画にいる。」

ハイノメがジッチャンの名にかけてと言わんばかりに推理を始める。

「でも、前回の事件でゼノの成分が出てきたのですけど……、それは?」

「それはあれよ……、そこら辺のゼノからとってきた体液でもバラまいたんでしょう」


 おいおい、違う事件を増やすな……。毛利のおちゃんか


カラスマ君の疑問に対して、ハイノメは苦しまぎれの回答を出した。確かにこの事件が人の手によるものなら、ジンエイさんがこの人気のない場所で襲われたこともわかる。警戒せずに近づいた所を不意打ちで襲えばいいのだから。ゼノにはこのような芸当は出来ないはずだ。でも、確かにハイノメの推理もありえる。ゼノという化け物がやったように見せかけた殺人事件。問題はゼノの成分まで用意したうえで犯行を行ったということだ。一般人がそんなこと出来るはずもない……、運良くいや、運悪く出会ったとしても返り討ちにあうだけだ。


「それに、ここには前回世界樹の根が生えていたじゃない。それから生まれそうだったゼノ……、つまり幼体みたいなのを刈り取って保管しておいた。そして今回の事件に使ったってことじゃない?」

ちょっと無理のある推理をだ……

ハイノメ探偵の推理にまたカラスマ君が疑問を投げる

「でも、今回の事件……致命傷は首元じゃないですか、首の傷から見て狼みたいなやつに噛まれて出来たものだと思うんですよ……」

「それはあれよ……犯人は狼の様な化け物になれる能力者なのよ」


 なんか何でもありになってきたな……

 

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