第103話 謝罪
迷いそうなほどに広大な公園、本来であれば子供たちで賑わっている場所のはずなのだが、災害後その光景は遠い昔の様に消え去ってしまった。今では公園の半分の面積が、テントや荷物の置き場所に変わっている。そんな環境でも、避難している子供たちの元気に遊んでいる姿を見ると、心が穏やかになる。
その公園の中心の広場に人が集まっている。そこでは不満の声が飛び交っていた。ジンエイマコトさんは、どうやらこの広場の方にいるらしい。自衛隊の彼は避難民の人たちの怒り不満を鎮めている様だ。
「皆さん落ち着いてください! 必ず事件は解決しますから!」
若い男性の声が奥の方から聞こえてきた。
「あ、この声……マコトさんの声です」
ミナさんが僕達に教えてくれた。彼は確かにこの先にいるらしいが、どうやら簡単には会えない雰囲気だ。
「おいおい、そう言っていつまで待たせるんだよ!」
「いい加減にして頂戴、安心して寝れないわ!」
「そもそも、さっさとこの東京から出してくれ。なんで危険な東京にずっと居なきゃならないんだ! 政府は何をやっているんだ」
「俺も実家が群馬なんだがまだ帰らせて貰えない。混乱するとか、危険だとか知ったこっちゃない! こんなとこにいた方が危険だよ……。帰らせてくれよ……」
民衆の不満は限界に達している様だ。
この光景何処かで見たことあるような……
「な、なんか会うのは厳しそうね……」
「そ、そうですね。昨日もこの件が原因でお会い出来ませんでしたけど……」
ハイノメとカラスマ君は、どうしたもんかと頭を悩ませていた。
そんな泥沼の中、一人の勇敢な男が中へと入っていく……区画長だ。区画長として避難民が気になったのか、それとも息子のマコトさんの事が気になったのか。
「マコト……対策課の方々がお前に会いたがっている。ここは私に任せてお前は会いに行きなさい……。」
「父さん……すまん、助かる」
「すみません、遅くなってしまいました。この区画の自衛隊の一人、ジンエイマコトです。もう知っているかもしれませんが、先ほどの区画長の息子です。ハイノメさんとユズキさんはお久しぶりですね。」
「お久しぶりです。随分とお忙しいようで……」
「ええ、でも無理もありません。こんな事件があったんですから……」
「か、顔色悪いですけど大丈夫ですか? 前にあった時と比べてその……、元気と言うか何というか……」
「アハハ……やはりそう見えますか。情けない話、結構疲れてます。こんなこと言ったら上官に怒られてしまいますけど」
「私たちに出来ることは何でも言ってくださいね。」
「ありがとうございます。お気持ちだけでも十分嬉しいです。あと、ユズキさんに1つ謝りたいことが……、いえ対策課の皆さんに対して……」
「謝りたいこと?」
ミナさんは頭の上に?マークを浮かべている……
「前回、ここで世界樹の根を駆除していただいた時、自分はあなた方能力者を嫌な目で見てしまったことです。」
彼はとても申し訳なさそうな顔を作った後、深く頭を下げた。
「そんなことですか! 気にしてませんよ……顔を上げて下さい。誰しも最初は不安になったり、恐れたりするものです。」
「ハ、ハイノメさん……」
ハイノメが聖母の様な振る舞いで、悩める子羊に手を差し伸べた。
「……でも、ユミさん。帰りの車の中で愚痴……」
「ミナ! 彼も謝っていることです。何も言わず、許すのが私たちに出来ることです……」
ハイノメが変なことを言うなと、ミナさんに圧をかけている。
卑怯な女だ……




