第7話
「よし!これで当面はいけるわよ!」
紛れ人の存在が都市伝説まで落ちぶれている事が判明した翌日、500エネの格安中古道具を携えたローズの作業を見届けた俺は、次の仕事の荷物を受け取っていた。
「本来、スキャン後の改造はご法度なのですが…」
「傭兵の個人情報ばら蒔くのは?」
「ハハッ。
此方が、物理チップとなります。
首都コロニーへの輸送ということで、比較的安全かとは思いますが、お気を付けて」
そう早口で言いながら、黒いボックスを押し付けた兎耳の職員は、まさに脱兎の勢いで歩き去っていく。
「徒歩ってあんなに速い移動方法だったっけ…」
「ほら、スキャル!行くわよ!」
「了解!」
相槌を1つし、船に乗り込んだ俺は、若干のワクワクと共に操縦桿を握る。
「未来の寝袋…どんな寝心地なんだろう…」
ベットを追い出された若干の哀愁も重ねつつ、船は空へと飛び立つ。
「レッツゴー!」
「平和ねぇ」
「平和だなぁ」
出港から半日、予定航路の折り返しを越えた俺達は、2人ほのぼのと寛いでいた。
「データ輸送は狙われるって書かれてたけど、襲撃無いわね」
「まぁ、船のデータが筒抜けらしいからなぁ…貨物積載0が確定してる上に、壊れた砲塔乗せた壊れかけの船は宙賊もいらないんだろうな」
「改めて聞くと、とんでもない船ね…
宙賊も狙わない船って、何かの記ろ『スペースジャンプキャッチャーを探知、逃走円を表示します』…襲撃来たわね」
「シャッターオフ!ベットに付けたシートベルトはしといてくれ!」
「わかったわ」
『ジャンプアウト』
相変わらず障害物は無い宙域に、1隻の宙賊船が漂っている。
「武装展開!」
『ヒャッハー!そのふ「ロック!ファイア!」寄越ギャァァァ!?』
なんとなく見覚えのある四角形の宙賊船が、収束砲の一撃に爆散していく。
「おぉー!一撃じゃない!流石中型用の砲塔!」
「スペースジャンプ起動!」
『同じルートで起動しますか?』
「承諾!」
『スタート星系第1コロニーへのジャンプ…開始』
星明か「シャッターオン」re。
「………ふぅー、緊張した」
「お疲れ」
ピッピッと音がして、半ばベットに縛り付けられていたローズが、シートベルトを外して座る。
「それでどうだった?修理した砲塔の威力は?」
「実は…カタログスペック的に、一撃で落とせるかは結構怪しかったんだが…うまく当てれて良かった」
「嘘っ!?あの威力で?現代の船は凄いわね…」
「…すぅ…はぁ…落ち着いてきた」
「やっぱり戦闘って緊張するものなのねぇ」
「そうだな…自分だけの時はそこまで緊張してなかったんだが…ローズを死なせる訳にはいかないと思うとな…砲も早撃ちし過ぎちゃったし…」
「へっ、へぇ…」
「まぁ、でも…守れて良かったぁ…」
「ぐぅっ…」
あの時、ローズが直してくれて復活した機能は3つ《収束モード》《エネルギー正常供給》《エネルギータンク再接続》だ。
収束モードは言わずもがな、正常供給でシャットダウンしないようにエネルギー量を調節し、エネルギータンクに予めエネルギーを貯めておくことで、速射を可能にする。
タンクの形式がかなり古いものだったらしくて、後数回の寿命だろうって話や、全体的に威力がちょっと落ちた話もあるが、0距離以外の攻撃の選択肢が生まれただけで、大量のお釣りが来る出来だ。
「ありがとな、ローズのお陰で今回勝てた」
「はふぅ…」
いやホント…自爆覚悟の突進はもうこりごりだ。
「…しっかりするのよローズ、会って2日目…まだ2日目…くっ…長年軍にいたせいで、こういう系に抗体が…」
その後、ブツブツ言い始めた言い始めたローズを放置し、横に座りつつテーブルに広げられたお菓子(簡単フード君6型製)ポリポリと摘まむ。
「椅子がベットしかないのも問題だよなぁ…操縦席は狭すぎて机置けないし…」
その後、ローズの顔7変化を見ながらポリポリとお菓子を摘まんでいたところ、再起動したローズに悲鳴をあげられながらビンタされた。
「理不尽だ…」
「あっ、ああああ貴方!いつか刺されるわよ!」
「なんで!?」
「くっ、これだからモテる奴は…」
「なにおう!?俺の〔あっ、うん…いい人なんだけどね…〕と言われ続けてきた人生を否定すると申すか!
………否定してください!存分に否定してください!」
「貴方、基本不憫よね」
「哀れまないでぇ!」
そんなやり取りをしながらも、船は進んでいく。




