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旅人は乗り換えの夢を見る  作者: ライスパディ


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第60話

 目的地の第1居住惑星に到着し、3日が経過した。


 オーレリア様と数人の供回り、研究者達は、現在住民を悩ませている害獣の討伐へと星に降り立っていった。


 残りの従者達は、軍の一時預かりとなり、追って沙汰が下るそうだ。


 俺達はというと、軍の資材を半ば押し付けられる形で急速に修理が行われ、その対価として通信を行えるポイントへと移動していた。


「今回の依頼は、1ヶ月の通信安定依頼なのです!」


「オーレリア様の迎えが来るまでの間の、いざという時の足兼、通信係兼、船のメンテナンス係ね」


「こう聞くと兼任が多いなぁ…」


 結局、オーレリア様の帰りは、家の本隊が行うことになったんだとか。


 よりにもよって、国軍に襲撃を知られたからな…今頃徹底的に捜査して、出せる膿は出すだろうというのが、オーレリア様の予想だ。


「襲撃してきた宙賊の拠点への逆侵攻もあるのです!」


「星系内に流通してる船が皆無に等しいから、ニコイチ船なんかも作れば作っただけ売れるわ!

 …と言うか、軍と領が全て買い取ってくれるわ!

 これぞ書き入れ時よ!」


 さて、そろそろ指定されたポイントに着く。


 お仕事を始めよう!




『ジャンプアウトを検知したのです!敵船は中型3、小型5なのです!』


「戦力の逐次投入ここに極まれりだな」


 指定されたポイントに着き、通信を解放してから3時間、俺達は順番にやって来る宙賊に対処していた。


「じゃあ、変わらずに行くぞ!」


『了解なのです!』


 ジャンプアウトしてくるであろう位置に対して、正面にカステラ(ペトラ)、下方にドリル(スキャル)を配置した俺達は、ワープアウトと同時に中型船へと攻撃を仕掛ける。


『中型船2隻ノックダウンなのです!』


「じゃあ、小型船行くわ」


『了解なのです!』


 初擊をしっかりと決めて、残りを順番に仕留めていく。


 これが、今のところ大成功している俺達の戦法だ。


「ほい…ほい…ほい!よし!チャージ分は全部仕留めた!」


『残りの中型船も仕留めたのです!』


「小型船逃走開始!」


『よし!後は警戒隊が引き継ぐ!』


「お願いします!」


 そうして、逃走した小型船に同期する形で、警戒隊の隠密船が追跡し、状況が終了する。


『スキャル、ペトラ、EMP変換器の調子はどう?』


『次は俺達の番だ!突撃ぃ!』


「良い感じだな。

 宙賊に対して過剰攻撃力なのが、上手く効いてる感じだ」


『こっちも同じくなのです』


 そう、今回俺達の武装は、EMP兵器へと変換されているのだ!


 威力は2割減だったり、無力化した後に突っ込む戦力が無い問題だったりと、正直無駄遣いじゃね?と思っていたローズの買い物がピタリとハマった形だ。


 お陰で、これまで跡形も残らないくらいの破壊力でもって撃破していた、宙賊船がそのまま手に入り、メンテナンス中なこともあり、暇で仕方なかった兵士達の暇潰しも提供できた訳だ。


『ローズ姐さん!制圧完了しました!』


『じゃあ、カステラ号の近くまで運んで頂戴。

 1隻ちゃちゃっと整備するわ。

 終わったら船と宙賊の移送お願いね』


『了解しました!』


 そんなことを言うローズは、現在フリゲート艦のメンテナンスと、宙賊船の再販売用の整備を同時並行で行っている。


 何でも、細かい修理でもなければ、10隻位なら余裕をもって出来るんだとか…


 マニュアル片手に応急措置を頑張っていた軍人さんはドン引いていた…


 俺?俺はその後の〔スキャルもそれくらいは出来ないとね〕の台詞に震えが止まりませんでしたとも!


 なんかやけにマルチタスクの訓練が多いと思ったら、最低ラインがとんでもないところに引かれてるんですけど!?


『ジャンプアウトを検知したのです!敵船は中型2、小型7なのです!』


 さて、そんなことを言っていたら、次の宙賊がやって来た様だ。


「次も変わらず行くぞ!」


『了解なのです!』




 あれから、3日が経った。


 メディポッドを用いて、眠気や疲労を無理やり抜くという、明らかに体に悪い戦闘継続を行った結果、宙賊の襲撃が一旦の落ち着きを見せたのもあり、俺とペトラは一眠りすることに。


 寝てる間と、起きてから2時間までの間は、軍が俺達を守ってくれる。


 なんでも、想定の数倍を超える襲撃量だったらしく、三日三晩寝ずの対応が、軍の傭兵雇い入れ規定に抵触するかもということで、強制的な一眠りである。


 あんまり眠くないし、大した時間眠らないだろうと思いながら眠りにつき…




 目が覚めると、現在の時刻は宇宙時間で18時…寝たのが12時だから…6時間の睡眠か…


「ふわぁ…思ったより寝たな…」


 軽く体を伸ばしつつ、朝食?を食べにリビングへ向かう。


「おっ、ローズも休憩時間か?」


「スキャルじゃない、よく寝たわね」


「よく寝たって、6時間寝ただけだろ?」


「6時間?…あぁ、1日と6時間よ」


「………はい?」


「大体は不足分寝るものだから、8時間が3日で、丸1日寝る想定だったのだけど…スキャル、あなた夜更かししてたわね?」


「へ?え?…あっ、本当だ!?カレンダーの日付がおかしい!?」


「何よ、始めてって訳でもないでしょ?

 優等生って感じでもないし、学生時代に1度くらいは保健室で…って、そうだったわね…スキャルは未開惑星出身だったわ…」


「くっ、久々に来たな未開惑星ディス…」


「まあ、学校に行ってない人も多いし、経験してない人もそこそこいるわよ…多分」


「くっ、くそぅ…」


「そんなことより、仕事よ仕事。

 ほら、これが計画書」


「えーっと、何々?」


 宙賊基地襲撃?


「これなら、今も軍がやってるだろ?

 襲撃船から情報吸い取ってさ。

 結構危険だし、見たくないような嫌な設備も満載だから、俺達は関わらないって話じゃなかったか?」


「そのつもりだったのだけど…ちょっと話が変わっちゃったのよね」


「どうしたんだ?」


「襲撃に行った基地で、現役の貴族が捕まったのよ」


 ………Oh。

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