第55話
「副砲ABファイア!」
戦闘開始だ。
今回俺が乗るのはカステラ号。
副砲が4門に、主砲が1門、ミサイル用対空砲が幾つか。
チャージなんて存在しない、運用しやすい構成になっている。
ミサイル用対空砲以外は、中賊小型船位なら余裕で抜けるのだが…
「くそっ、耐えてる!これ軍用グレードじゃないか?」
『副砲Aファイアなのです!』
『ズゥン』
『スキャル!深追いしちゃ駄目なのです!射線を切る方が優先度高いのです!』
「了解!」
横目でレーダーを見れば、大型船と中型船がこちらに近付いて…
「これ、もしかして移乗作戦狙ってる?」
『それはそれで面倒なのです!
スキャル!敵方の船から射出されたものは全力で回避するのです!
撃ち落とそうとしても無駄なのです!チューが実践済みなのです!』
「了解!」
敵大型・中型船から離れる様に動く。
背走しながらの隕石避けだが、ここら辺の逃走スキルを重点的に鍛えていたのもあり、得意科目だ。
「ローズ!こちらスキャル!
敵が移乗作戦を狙っている可能性が出てきた!警戒態勢を強めてくれ!」
『面倒な事を…わかったわ!オーレリア様からの苦情処理はお願いね!』
「へっ?何を…」
『緊急事態要項に基づき、指揮権を船長傘下に再編成するわ!船内隊隊長の私ローズに従わない者は敵潜入部隊と断定し、生死不問の拘束対象とするわ!』
「うおぃ!?なんて事してんだよ!?」
『スキャル様!これはどういう事ですの!?』
「っだぁ!?オーレリア様!今は敬語使うよゆ『緊急回避起動』くっ、撃ってきた!」
敵大型船の推定主砲、回避は出来たが、シールドが7割位削られた上に、直線状に"道"が出来上がった。
「ちくしょう!シールドセル起動!ブースター稼働!ペトラ!右方の小惑星帯に突っ込んだら1度戻れ!」
『了解!なのです!』
小惑星帯に突っ込みつつ、格納庫を展開。
道をひた走る小型船を横目にペトラを格納し、アクセル全開で小惑星帯へ突っ込む。
「やるしかねぇ!」
シュミレーター仕込みのドライブテクニックで、小惑星を回避しつつ、奥へ奥へと進んでいく。
「ペトラ!防衛軍からの続報は!」
『間も無く警戒隊が到着なのです!』
「了解!ってなわけだオーレリア!今内ゲバしてる余裕はねぇ!ドロップシップ対策もしなきゃならん!悪いが、研修や経験積ませは一旦凍結だ!」
『わっ、わかりましたわ。
…案外野生的ですわね』
「『緊急回避起動』2発目ぇ!クールタイム短すぎやしないか!?」
『警戒隊第5班!ただいま現着!』
『同じく第4班!ただいま現着!』
増えた戦力は、中型船2隻に、小型船が6隻…しかも中型はレーダー艦で戦闘力に乏しいときた!
「ありがたいけど全然足りない!」
『こちらオーレリア様輸送船なのです!
こちらは逃走・回避を継続するのです!
貴艦は中・大型に気を付けつつ、小型を幾らか担当してほしいのです!』
『第5班了解!足手まといは退却させる!』
『第4班も同じく!』
増援の中型と小型の重鈍高火力船が撤退していく。
その上で残った4隻がこちらを追う小型船の後ろに突進していく。
「さて、第二幕の始まりだ!」
あれから10分が経った。
周囲に居て駆け付けられる部隊が駆け付けた結果、小型船8隻程度が増援として来た形となる。
残りの部隊は本隊と一緒に来るそうだ。
「『緊急回避起動』ぐっ…そろそろ推進機が不味いんじゃないか…」
大型船は変わらずに俺を狙っている。
ペトラの見立てによれば、警戒隊の小型船には、速すぎて当てれないと判断した可能性が高い。
『スキャル!待たせたわね!制圧完了したわ!』
「ローズ!」
『後、防衛をしやすくするために、オーレリア様と主要メンバーは同じブロックに固めたわ!
反乱勢力も別のブロックに固めたから、指定ブロックの隔離をお願い!』
「了解!」
ボタンポチっと。
これで隔壁が降りた。
許可するのは、空気と温度…っとここを横に…
「なんか、だいぶ隕石避けるの慣れてきたな」
『隔壁の確認も済んだわ。
私はドリル号とどっちに行った方が良い?』
「こっちに来て欲しい…けど、それ以上にこのままだと推進機がマズイ!なんとかならないか?」
『あー、緊急回避ね…わかったわ!緊急回避の間隔を教えて頂戴!』
「すまん!流石にカウントできてない!」
『わかったわ!ログから出す!』
「『緊急回避起動』ぐっ…」
『うっ…よし!出たわ!これなら…
スキャル!次の緊急回避が終わったら、推進機の修理に入るわ!』
「へっ?いや、船止めれないぞ!」
『当たり前よ!修理中の推進機は使えなくなるから、別方向に回避するのよ!』
「マジですか!?」
『マジよ!』
『緊急回避起動』
『くっ…整備ドック解放、ドローン発進!材料は製造済みの物を持っていきなさい!』
初めは…左右推進機同時に!?
「ちょっ、上下だけで回避とかやったことな…うおっ…ぉぉお!」
そっ、そうだ!姿勢制御用の推進機を使えば!
「斜め機動!斜め機動!
げっ!?小型船から撃たれてる!?」
流石に動きが直線過ぎたか!
『左右出来たわ!次そろそろ来るわよ!』
「はや『緊急回避起動』うおっ!?」
心なしかGが増えてる気がする!
『次上下行くわよ!』
「シールドセル起動!了解!」
学びを活かせ!
「斜め機どうおっ!?出力増してる!?」
ちょっ、調整が!
「あっ、ちょっ、慣れっ、慣れろ俺ぇ!」
なんと言うことでしょう…先程までの、隕石の隙間を縫う繊細なタッチと、話ながら操縦できていた余裕は消失し…
「かすっ、やばっ!」
間違いなく暴走している、1隻の船が誕生したではありませんか。
『上下出来たわ!』
「ってこと『緊急回避起動』うおうっ!?」
『今から出力の調整に入るから、もう少しだけ頑張るのよ!』
「なるほどこれみちょぉう!?せえぇい!?だったぁ!?のかぁ!?」
ちくしょう!1か100しかないのかこの推進機!
「『緊急回避起動』っぐぅ!」
『調整出来たわ!』
「ありがとう!…って今度は操作しやす!?」
これならいける!
「詰められた分、引き離してやる!」
そろそろ…そろそろ防衛軍が到着する筈だ!




