第48話
「あぁ…トレリス時代を思い出したの…二度としたくないの…」
「間に合わなかったッ!クソッ!クソッ!」
「姉御!姉御に教わったことはワシら一生の宝です!」
1週間の納期延長を終え、ローズ被害者の回を背中に宇宙へと飛び立つ。
『同星系内 第5コロニーへジャンプ開始します』
目指すは娯楽コロニーだ!
『第5コロニー まもなくジャンプアウトします』
「…あぁ、憂鬱だ」
さて、改めて船のスペックの確認でもしておこうか。
まず中型船、カステラ号のスペックが
ジェネレータ 90
推進機 78
シールド 89
装甲 89
武装 90(94)
こんな感じだ。
中型船ローサイズとしては過剰と言えるほどのスペックで、多対1を成り立たせるだけの強さがある。
貨物庫が12ブロック、格納庫が12ブロックのハーフ船と呼ばれるタイプで、宙賊船を鹵獲して改造する気満々の構成をしている。
そして小型船、ドリル号のスペックが
ジェネレータ 90
推進機 70(85)
シールド 80
装甲 65
武装 150
こんな感じだ。
倉庫をミサイルポッドに変更し、物理攻撃力も得た火力船だ。
ローズ曰く、エントリーで100、ミドルで200、ハイエンドが300がトンガリスペックなんだそうで、それを満たせないこの船は、トンガリの船じゃないそうだ。
…うん、何かおかしい気がする。
『スキャル、現実逃避はそこまでなのです!
ジャンプアウト後、即時接敵なのです!』
「…ふぅ…了解!」
俺の憂鬱の正体…それは…
『ジャンプアウト』
『ヒャッハー!出すもん出せやぁ!』
『金!金!金!』
『雑魚がよぉ!』
コロニーを襲撃する宙族集団にあった。
「ドリル号出してくれ!」
『了解なのです!』
なんか、ペトラ調べによれば月1ペースで起きているらしいコロニー襲撃…
何でも、防衛戦力の割に稼いでいるのが理由らしいが…
「武装展開!戦闘開始!」
俺の来るタイミングで来なくても良いじゃん!
『敵船中型4!小型8!なのです!』
『とてもコロニーを襲撃出来るような戦力じゃないわね』
いやぁ、見事にコロニー煙噴いてるなぁ…
『前回の襲撃から間が空いてないのです!防衛隊が使える戦力が中型1、小型6しかない今を狙っての襲撃なのです!』
『哨戒が出来る小型船の修理を優先したんでしょうけど…見事に裏目に出てるわね…』
敵は大した陣形もなく、小型船が前、中型船が後ろに位置して、コロニーへエネルギー弾を打ち込んでいるだけだ。
そして俺達はその後ろにジャンプアウトしたと…
「デカイのから順番に潰すぞ!ってぇー!」
『ファイアー!なのです!』
『『ズゥン』』
『敵中型船2機反応ロスト!倒したわ!』
そんな俺達の主砲によって、中型船が爆散していく。
『流石はフルカスタム船なのです!主砲で一撃なのです!』
「チャージ終了まで残り30秒!俺は小型に行く!」
『スキャル!いざとなれば使って良いけど、ミサイルはなるべく温存しときなさい!』
「了解!」
後ろで中型船が爆散したにも関わらず、変わらずコロニーへ打ち込み続けてる小型船へと突っ込んでいく。
「あー、これは音響付いてないパターンだ…こうなるのか…」
…となれば、なるべく視界に入らなさそうな後ろの機体から…
「副砲Aってぇー!」
『ズゥン』
「副砲Bも…ってぇー!」
『ズゥン』
『小型船2機ロスト!倒したわ!
こっちでも中型船1機落としてるから、そろそろ増援に行けるわよ!』
「了解!っと気付かれたか…」
『なっ、てっ、テメェら!後ろから敵襲だ!
…おい!何してやがる!敵襲だよ!』
「…ん?なんか様子が変だな…取り敢えず副砲Cファイア!」
『クソガァァァ!?』
『小型船1機ロスト!倒したわ!
こっちも中型船落としきったから、増援に向かうわね!』
「わかった!予定通り行くぞ!」
『『了解!』』
俺は下方向に大きく移動し、カステラ号の射線から、大きく外れる。
『副砲一斉射なのです!ファイア!』
『『『ズゥン』』』
そんな俺の居た場所を、4本の光線が過ぎ去っていき、3つの花火が夜空に咲く。
『1発外したのです!?』
『ロックしても外す時は外すわよ』
小型の宙賊船なら副砲の一撃で落とす…流石の火力だな!
『ビー!ビー! 警告! 巨大質量を検知しました! 待避してください!』
『コロニーの全戦力が出て…チッ!来るわよスキャル!後詰めの本隊よ!』
「この警告そういうこと!?
待避!待避ー!」
うおっ、あぶねぇ!ギリギリ抜け出せ…
『ヒャッハー!コロニー丸ごと寄越しなぁ!』
「うげぇ!?大型船!?」
『敵増援大型1!』
『どうせ中に他のも居るわよ!』
だよなぁ!?ヤバイよなぁ!?ここ船の真上だしなぁ!?
…待てよ?
「船の真上なら!ワンチャンあるよなぁ!?」
出力全開!突っ込めぇ!
『ん?あっ、アニキ!?上から小型船が突っ込んで来てやす!?』
『あん?打ち落とせ!』
「うおぉぉぉぉぉ!」
『撃て!撃てぇ!』
こちらに向く、副砲と対空砲。
それらの弾丸の雨の内、副砲のみを回避の対象にして、安全装置を解除。
「ぐっ、ぐぅぅ!」
出力が上がり、内部の重力装置を貫通するGを受けつつも、船への致命傷は避け、ただ愚直に直進を続ける。
『あん?なんでこんな対空砲食らってチビ船が………なっ!?クソが!ありゃ傭兵船だ!』
「射程圏5秒前!ミサイルポッド展開!」
『第1だけで満足しとけよ!?クソッ、砲塔全部あいつに向けろ!ミサイルが来るぞ!』
「対大型用ミサイル!全部持ってけぇ!」
『クソが!クソが!クソが!』
特殊な塗料が使われたこのミサイルは、シールドを無視できる!
「いっけぇぇぇぇぇ!」
『打ち落とせぇぇぇぇぇ!』
そうして打ち出されたミサイルは…6本が打ち落とされ…2本が船体に命中した。
『ズガァァァァン!』
「ッシャァァァ!」
『スキャル!気を抜いちゃ駄目!中身の追撃が来るわよ!』
「ッハイ!」
っぶない!完全に気を抜いてた!
『その必要はないさ!
こちら第2コロニー防衛隊!襲撃の報を受け現着した!』
『こちら第1コロニー防衛隊!続いて現着!
大型も引き連れてきたんだが…先越されちまったな!』
『こちら第5コロニー防衛隊!協力本当に…本っ当に!感謝する!
そして、港の出口が破壊されたとはいえ、増援が遅れたこと、謝罪する!』
あー、あの煙港だったのか…
『後は俺達に任せときな!殲滅戦は得意なんでなぁ!』
そうして、離脱する俺と入れ替わるように、大量の船が大型船へと殺到していく。
『あー、そうね。
スキャル、1度こっちに戻っちゃいなさい。
修理とミサイルの補充しながら待機よ』
「スキャル了解」
こうして、コロニー襲撃戦は一端の幕引きと相成るのだった。




