第42話
「えー、ゴホン!
今回は、中型船をお探しに来られたんですよね?」
「………あっ、俺が答えるの!?
はい。そうなります」
あれから5分程、メイドさんの絶え間無い再現図による攻勢と、それを阻止しようとして〔へぶっ〕っと転ぶリエールさん…笑いながら、昔のリエールさんを再現しようとするローズのわちゃわちゃを経て、船を買うための場へと移動していた。
尚、内装担当のペトラは、途中で別の部屋に案内されていた。
「こういう時はリーダーが…あれ?お姉様がリーダーじゃないんですか?」
「私はスキャルに拾って貰っただけのクルーよ?」
「そうなんですね…あっ、なら!」
「もうスキャルのものなの…ごめんね?」
「………ふぇっ!?ローズお姉ちゃんが…ひっ、人妻なの!?」
「ふふっ、大体そんな感じよ」
「そっ、そんな…お姉ちゃん達の結婚遅そうランキングで、殿堂入りしてたローズお姉ちゃんが…」
「ふふっ…アイツらちょっとぶん殴って来るわ!」
「たっ、大半があの世ですから!」
「どうせ主要メンバーは何らか生きてるわよ!」
「………ノーコメントで」
「ほら!」
「では、現在こちらで掴んでいる、旧トレリス隊の住所を「ちょっと待ちなさい」…お渡ししますね」
うわぁ…メイドさんの笑顔が輝いてるぅ…
「待ちなさいって!この流れで渡したら、私が他の皆に…あっ!そう!船!船を買いに来たんですよね!」
露骨に話題逸らしたな…あっ、はい乗りますよ。
「そうなんですよ。
1000万エネ位で中型船を買おうと考えてまして」
「1000万エネで中型船…ということは、戦闘型傭兵仕様で宜しいですか?」
「社長、こちら完全版フワロリ想像図でございます」
「うみゃぁぁぁ!?」
あぁ、クールなリエールさん5秒も持たなかった…
「うぅ…ローズお姉ちゃんは、どんなのを考えてたの?」
「キッッツ」
あっ、リエールさんの目が死んだ…これこのまま押し切るつもりだ。
「そうねぇ…元々は複数の造船所の、キメラ船にしようと思ってたのよ」
「それだと、メンテナンスが…あっ、まさかローズお姉ちゃんがするの!?」
「そっ、スキャルに最新のインプラントを買って貰ったから、今の船もいけるしね?」
「さっ、流石はローズお姉ちゃんが見初めた男なの…ローズお姉ちゃんを信じきった、かなり豪胆な決断なの…」
「あっ、私が提案してるだけで、スキャルの意思はあんまり入ってないわよ?」
「ローズお姉ちゃん!?
キメラ船のメンテナンスが地獄なの忘れたの!?」
「えっ?あれくらい楽な方でしょ?
地獄ってのはあれよ、替えの部品もない新技術の試作品を、5分以内に修理しないと死ぬ場面とかそういうのを言うのよ」
「そんなの誰も出来ないの!?」
「ふふっ、面白い冗談ね。
出来てなかったら今ここに私いないわよ」
「………忘れたの…この人こういう人だったの…」
なんと言うか、ローズのとんでも武勇伝を聞いた気がする…
「じゃあもう整備難易度とか一切合切無視するの。
スキャルお兄ちゃんが求めるのはどんな船なの?」
「お兄ちゃん…」
「なの!」
「…ええっと、操縦者が下手でもしっかり勝てる船ですかね」
「なるほど…因に傭兵歴は?」
「半年いかない位ですね」
「なるほど…一山当てたの…」
そう言ったリエールさんは、ポチポチと何かを打ち込み始める。
「じゃあ、これなんてどうなの?
あっ、指標は同じ大きさの船の能力を1~100で表したものなの。
基本的に
ローサイズ 1~30
ミドルサイズ 31~60
ハイサイズ 61~90
って覚えておけば良いの」
そう言われて提示されたのは…
ジェネレータ 90
推進機 78
シールド 89
装甲 89
武装 68
のローサイズ、900万エネの船であった。
「軍用の装備は許可が出てなかったから、90超えは無いの。
これをベースに、好みの武装なんかに付け替えれば良いの」
きゅ、900万でベース船か…
「キメラを厭わないなら、中小船舶連合の火力砲とかオススメなの。
安定感は低いけど…ローズお姉ちゃんなら多分なんとでもなるの」
「なるほど…トレリスの砲はどんな感じなんですか?」
「うちの製品は安定感重視なの。
整備できない状態で何年も持たせることには秀でてるけど、1発の火力は若干低めなの」
「なるほど…」
「ローズお姉ちゃんは、戦闘中に整備ボットで横付けして修理とか平気でやれるから、安定性とか度外視で良いの」
「えっ?そんなこと出来るのか?」
「基礎技術ね」
「認知が歪んでるの…」
あっはい…超高等技術ですね…
「さっき言った中小船舶連合なら紹介出来るの。
確か軍のコンペに出した砲があったはずだから、それを買うと良いの」
「へー、コンペの結果はどうだったんですか?」
「書類を役人が握り潰して出場出来てないの」
…おっふ…それはなんとも…
「つまりは、握り潰さないといけない位、良い砲ってことね」
「そうなの。
実際、トレリスの安定度外視製品のオプションに、下位グレードを採用してるの」
ふむふむ…
「…あれ?火力だけならトンガリはどうなんだ?」
各部門に尖ってるなら、火力に尖ってる砲もあるんじゃないか?




